今日のうた

思いつくままに書いています

チャーミングな言葉

2015-03-08 09:47:44 | ⑤エッセーと物語
ETV特集で、2009年2月8日に放送された「キューバ革命50年の現実
~米国人ジャーナリストが記録したカストロ政権~」の再放送を観た。
アメリカ人ジャーナリストのジョン・アルバートが、35年にわたり市民の生活を
撮り続けた、キューバの記録である。

私はフィデロ・カストロ議長に対して、カストロ髭を生やした恐いおじさんという
印象しかなかった。
だがカメラの前のカストロは、ちゃめっけたっぷりの、人懐っこいおじさんだった。
また、彼の言葉は実にチャーミングなので、思わず書き写してしまった。

1979年10月、ニューヨーク国連本部で演説するために乗った飛行機の中で

記者:   「ニューヨークではあなたを殺したいと思っている人がたくさんいると思います」

カストロ: 「私の運命は決まっている。人は死ぬ時には死ぬもんだよ」

記者:   「いつも防弾チョッキを着ていると聞きましたが」

        (ボタンを外して肌を見せ、体を震わせて笑いながら)
カストロ: 「ほら、私はモラルというチョッキをいつも着ているんだよ。
       とても頑丈なやつをね。
       そいつはいつも私を守ってくれた」

滞在するニューヨークのホテルの部屋を、記者たちに案内して

カストロ: 「ここが寝室だよ」

記者:   「あなたは睡眠を取らないという人がいますが」

カストロ: 「そんなことはない。
       仕事が忙しくて短時間でしっかり睡眠を取らなければいけないので、
       夢は見ないよ」

記者:   「国連前の支持派と反対派のデモをどう思いますか」

カストロ: 「自分に反対している人を賞賛する。
       なぜなら、彼らは活動家だから
       熱心に活動しているということだ。

      
       私を支持してくれる人には感謝する。
       彼らには更なる賞賛を送りたい。
       彼らは勇敢だからね」

私はカストロの主義主張は解らないが、人間として深く、魅力的な方だと思った。
最近の国会での、言い訳・言い逃れ・ごまかし・棒読み・・・にうんざりしていたので、
久しぶりに爽やかな風を感じた。

追記1
オバマ大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長(フィデロ・カストロの弟)は
11日、米州首脳会議が開かれた中米のパナマでおよそ1時間にわたって会談した。
両首脳はできるだけ早期に国交を回復し、お互いの大使館を再開できるよう
努力することを確認した。
また、キューバが求めているテロ支援国家の指定の解除について、オバマ大統領が
近く判断するとカストロ議長に伝えた。(引用ここまで)

歴史的な会談が行われたのだ。世界は刻一刻と動いている。
アメリカにただただ追従するだけでは、世界から取り残されてしまうのではと、
私は危惧します。
(2015年4月12日 記)

追記2
2016年11月25日、フィデロ・カストロ氏がお亡くなりになりました。享年90歳。
(2016年11月26日 記)

    
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