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放射性廃棄物~終わらない悪夢~2

2014-08-23 13:54:53 | ②一市民運動
(4)グリーンピースにより、フランスのラ・アーグ使用済み核燃料再処理工場
   (当初は軍事用プルトニウムを生産していた)でも汚染が見つかった。
   1993年には、放射性廃棄物を船からドラム缶で海へ投棄することは禁止されたが、
   パイプを通しての海洋投棄は、今も合法なのだ。
   毎年、膨大な量の廃液が、パイプを通って海に棄てられている。
   ラ・アーグは、毎日400立方メートルの放射性廃液を、英仏海峡に投棄している。
   海底は汚染され、セシウム、コバルト、ヨウ素129などが検出されている。
   そして北極海でも検出されているのだ。

   使用済み核燃料を溶かす時にも、放射性物質を含むガスが排気筒から空気中に出される。
   放射性レベルは、空気1立方メートルあたり9万ベクレルという高い数値だ。
   クリンプトンという放射性ガスに、ヨーロッパ全土が2~3日で影響を受ける。
   ラ・アーグ周辺の村でも、クリプトン85が検出された。
   その年間放出量は、1立方メートルあたり1000ベクレルで、これは数十年間の
   核実験500個分よりも多い。
   クリプトン85の半減期は10年で、大気中に蓄積されてゆく。
   コストがかかるという理由で、アレバ社(仏原子力企業)はこれを放置し、
   仏原子力安全機関もそれを認めている。

   アレバ社は、このバックグランド放射線は広島と長崎の原爆の被曝データと比べても、
   基準を下回っているとし、これは汚染ではなく環境の中に存在しているだけだと
   回答している。
   しかし周辺の住民は、日常的に低レベルで体内から被曝していることに変わりはない。
   ラ・アーグ再処理工場では、外国とフランスの58か所からの使用済み核燃料
   1400トンを再処理している。
   ヨーロッパの放射性物質の80%を排出しているのが、使用済み核燃料の再処理工場だ。
   再処理の必要性に異議をとなえる人もいる。

   使用済み核燃料は、燃料プールに5年間貯蔵される。だがテロや飛行機の衝突、そして
   プールが干上がり、使用済み核燃料の温度が上昇した時の水素爆発などの危険性が
   あるのだ。世界には450か所のプールに、使用済み核燃料が貯蔵されている。
   その後、切断される。その割合は、ウラン95%、プルトニウム1%、
   ガラス固化体4%となる。
   再処理とは、放射能を消滅させるものではなく、廃液をガラスと混ぜて溶かして固め、
   最終廃棄物にすることだ。それは極めて危険で、核分裂で産まれた物質の99%が
   含まれている。
   ガラスと混ぜて容器に入れられ固化された最終廃棄物は、風通しの良い竪穴に
   貯蔵される。この高レベル放射性廃棄物の中には、数十万年後もまだ
   危険性を帯びているものが含まれる。

   高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体4%は、再利用できない。
   プルトニウム1%は、ウラン238と混ぜてMOX燃料にする。
   またプルトニウムは核兵器の原料になり得る。
   では、放射性廃棄物の95%を占める残りのウランはどうするのか。

(5)残りのウランは、ヨーロッパやロシアの施設に送られて、核燃料サイクルに戻される。
   フランスから8000キロを旅して、ロシアのトムスク7(核施設)に
   運ばれたウランは、何度も遠心分離器にかけられ、濃縮ウラン(ウラン235)と
   なって再利用される。
   だが再処理されるのは10%にしか過ぎず、90%は劣化ウランとして
   ロシアの所有物となりシベリアの奥深く保管されるのだ。
   そのため、ロシアには巨額な金が支払われているという。
   航空写真を見る限り、コンテナに入れられた劣化ウランは、
   無防備に屋外に置かれている。
   このウランの貯蔵区画に置かれているコンテナは巨大で、
   テロの対象にされることはないのか。
   飛行機の衝突の危険性に対しては、担当者が広大な土地なので問題ないと応えている。

   アレバ社は、原子力は再生可能エネルギーで、96%が再処理できると言っているが、
   実際には10%に過ぎないのだ。
   また再処理を行っているのは、世界中でフランス・イギリス・日本の三か国だけなのだ。
   危険な輸送、環境汚染、そして再利用率の低さは、再処理の必要性に
   疑問を投げかけている。

   
(6)では、再処理しない場合はどうするのか。
   使用済み核燃料を再処理しないでそのままガラス固化し、地中のコンクリート構造物で
   保管するドイツやスイスは山の斜面に埋めている。
   それが困難な時は分厚いコンクリートの建物に入れ、テロや事故の危険に備えている。

   
(7)フランスの元環境相だったコリーヌ・ルパージュは次のように語っている。
  「1970年代には、いずれ処理方法が見つかると考え、原子力発電を推進したが、
   実際には使用済み核燃料の処理方法は見つからないし、再処理方法も見つかっていない。
   原子力は持続可能エネルギーではなく、フランスでは宗教のようなものなのだ。
   地球温暖化の問題が追い風になったが、フランス社会における諸悪の根源になっていると
   確信している。原子力は不透明で真実を覆い隠すものだ。
   また財政難の一因にもなっている。
   原発エネルギーに力を注いでしまったので、再生可能エネルギーや効率エネルギーを
   開発する機会を失ってしまった。そのためにフランスの産業は遅れてしまった。
   こうしたことを国民が選択したのではなく、国民は押し付けられて来たのだ」

   エネルギー原子力問題アナリストのマイケル・シュナイダーは次のように語っている。
  「原子力はエリート技術官僚の独断場である。政治家は何にも分かっていない。
   大統領選でのサルコジ候補とロワイヤル候補の公開討論は、体(たい)を
   成していなかった。
   秘密主義といつわりの情報ばかりで、これでは民主主義とは言えない」

(8)何十年にもわたって抗議活動が繰り広げられた。そして世界中で原子力反対の
   運動が起こった。
   ドイツ、ベルギーでは、原子力発電所の全廃が決定された。
   シュレーダー独首相(当時)は、ドイツは段階的に原子力発電を停止すると演説した。
   そして話し合いの末、原発の稼働期間を最長32年とした。

   粘土層の地下500メートルに高レベル廃棄物を封じ込め、約10万年漏れないように
   しなければならない。そして20万年の間、危険が伴う。
   そこに埋めたと言う記憶の継承はどのようにすればいいのか。
   20万年後、6000世代後の命をどうやって守れるのか。

   天体物理学者のユベール・リーウスは次のように語っている。
   「原子力エネルギーが問題なのは、未来を抵当に入れていることだ。
   千年という単位で政治的安定を語ることはできない。
   そんな途方もない先の未来を管理できるなどと考えることは、おこがましい」と。

   ※私には科学的な知識の裏付けがなく、間違っている箇所がありましたら
    お許しください。ここに書かれていることは、2009年の映画公開当時のものです。

追記1
2012年2月20日「NHK BS 世界のドキュメンタリー」で、この映画を放送したそうです。
ブックマークに入れましたので、興味のある方はブログの一番右下の「放射性廃棄物・・・」を
クリックして下さい。
小分けされていますが、こちらから観ることができます。
      ↓
http://www.at-douga.com/?p=4847



(画像はお借りしました)
 
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