大道寺将司句集『残(のこん)の月』より、心に残る句を引用させて頂きます。
きれぎれの一生涯よひこばゆる
※ひこばゆる=切り株や根元から若芽が出る
花の朝のんどをごきと潰(つぶ)されし
※のんど=喉
ゆくすゑは土塊(つちくれ)ひとつ穴惑(あなまどい)
※穴惑=晩秋になっても冬眠の穴に入らない蛇
宵闇の墨色捩(よじ)れそめにけり
裸木(はだかぎ)の描くいぶせき文字(もんじ)かな
※いぶせき=気味が悪い
被曝せる獣らの眼に寒昴(かんすばる)
淡雪(あわゆき)の声消ゆるごと海に落つ
※淡雪=降ってもすぐに解ける春の雪
ひそやかに骨の泣く音(ね)や春の霜(しも)
九条も螻蛄(けら)の生死(しょうじ)も軽からず
雲の尻ゆたかに張つて梅雨明けぬ
息(いき)の緒(お)を奪ひてしるき烏瓜(からすうり)
※しるき=著(いちじる)しい、はっきりしている
※烏瓜=夏にレースのような白い花が咲き、晩秋に
真っ赤な実に熟すウリ科の多年草
いとど跳び指の先から昏(く)れゆけり
※いとど=カマドムシ
蒼茫(そうぼう)の枯れて国家の屹立(きつりつ)す
※蒼茫=人民
抗(あらが)はぬ民と侮る春の潮(しお)
水馬(あめんぼう)描く容(かんばせ)消え残る
※容=顔
追記1
2018年7月22日の「朝日歌壇」に、大道寺将司さんの遺作となった
『最終獄中通信』のことが載っていた。
私は大道寺さんが亡くなられていたことを知らなかった。
2017年5月24日に病死されたそうです。
ご冥福をお祈りいたします。
①「連続企業爆破事件の大道寺将司死刑囚が病死 2017年5月24日 産経新聞」
https://www.sankei.com/affairs/news/170524/afr1705240022-n1.html
(2018年7月22日 記)
きれぎれの一生涯よひこばゆる
※ひこばゆる=切り株や根元から若芽が出る
花の朝のんどをごきと潰(つぶ)されし
※のんど=喉
ゆくすゑは土塊(つちくれ)ひとつ穴惑(あなまどい)
※穴惑=晩秋になっても冬眠の穴に入らない蛇
宵闇の墨色捩(よじ)れそめにけり
裸木(はだかぎ)の描くいぶせき文字(もんじ)かな
※いぶせき=気味が悪い
被曝せる獣らの眼に寒昴(かんすばる)
淡雪(あわゆき)の声消ゆるごと海に落つ
※淡雪=降ってもすぐに解ける春の雪
ひそやかに骨の泣く音(ね)や春の霜(しも)
九条も螻蛄(けら)の生死(しょうじ)も軽からず
雲の尻ゆたかに張つて梅雨明けぬ
息(いき)の緒(お)を奪ひてしるき烏瓜(からすうり)
※しるき=著(いちじる)しい、はっきりしている
※烏瓜=夏にレースのような白い花が咲き、晩秋に
真っ赤な実に熟すウリ科の多年草
いとど跳び指の先から昏(く)れゆけり
※いとど=カマドムシ
蒼茫(そうぼう)の枯れて国家の屹立(きつりつ)す
※蒼茫=人民
抗(あらが)はぬ民と侮る春の潮(しお)
水馬(あめんぼう)描く容(かんばせ)消え残る
※容=顔
追記1
2018年7月22日の「朝日歌壇」に、大道寺将司さんの遺作となった
『最終獄中通信』のことが載っていた。
私は大道寺さんが亡くなられていたことを知らなかった。
2017年5月24日に病死されたそうです。
ご冥福をお祈りいたします。
①「連続企業爆破事件の大道寺将司死刑囚が病死 2017年5月24日 産経新聞」
https://www.sankei.com/affairs/news/170524/afr1705240022-n1.html
(2018年7月22日 記)