今日は,節分。
夜,近所のスーパーに豆を買いに行ったら,昨日まであった節分コーナーはひな祭りコーナーに取って代わられていた。
恵方巻きはまだ残っていたが,そこそこのお値段がするし,黙って食べると喉に詰まらせそうなので,今年も見送ることにした。
ところで,スーパーに向かう途中,近所の家から豆まきの掛け声が聞こえてきた。平日だと家族がそろうのは夜だから,そんな時分に豆まきをしていたということだろう。
それで思いついた「こんな節分は嫌だ」二話。
第一話:とある家族の悲惨な体験。
「じゃ,そろそろ豆まきしようか。」
「はーい。」
(ガラガラッ)
「鬼はー外,福はー内!」
「イテ!こら,ガキども,何さらしてくれるんじゃい!おかげで怪我してもうたやないか。ちょっと治療費のことで相談させてもらうわ。」
夜だったため,通行人の男に気づかず,豆をぶつけてしまったらしい。鬼の形相で怒るクレーマー風のその男は,その家にずかずかと入り込んで来た。
鬼が逆ギレして,家から追い出されるどころか幸せな家庭に入り込み,一家を恐怖のどん底に突き落とす,そんな不幸な物語。
第二話:とあるサラリーマンの悲壮な体験。
家で節分の豆まきをするため,男は残業をせずに家路を急いだ。
(ガチャッ)
「ただいま~!」
「今よ!」
「くらえー!鬼はー外!鬼はー外!」
「イテッ,イテテテ!お前たち,どうしたんだ。パパに思いっきり豆をぶつけるなんて・・・!」
子供たちの背後には,暗い残酷な笑みをたたえる妻の姿があった。
マイホームが実は鬼のすみかだったという,そんな恐怖の物語。
全国各地で執り行われる豆まき行事,節分。
ここに述べたのは架空の物語であるが,どこかで,もっとずっと恐ろしいことが起きているのではないか。そんな気がしてならない。(完)