ガリレオ (天才!?科学者シリーズ 1)ルカ・ノヴェッリ岩崎書店このアイテムの詳細を見る |
今年は、ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で天体観測を始めてから400年目の年にあたる。また、国際天文年の年であり、各地で催しが開かれている。
ガリレオの人間としての生涯を、親しみやすいイラストと文でイタリアのルカ・ヴェッリが書いたのが本書である。
なかなか、就職先が決まらず、おなかをすかしていた一時期、「幾何学および軍事的コンパス」というヒット商品を生み出したこと、ダンテの神曲をもとに悪魔ルシファーの腕の長さと身長を割り出した話等、興味あるエピソードの満ちた本である。
しかし、ピサの斜塔での落下の実験や、コペルニクスやケプラーの地動説の正しさを主張していく大事な話もわかりやすく語られている。
当時の30年戦争や、ペストの流行、そしてカトリック教会の異端審問との緊張感も読み取ることができる。彼の真理への探究心を通して、宗教の持つ問題点もあぶりだされる。現代も、カルト宗教や、スピリチュアリズムといった非合理主義が世の中にはびこっている。こうしたことも、本書を通じて、科学する目から見ていく必要があることを認識させられる。ガリレオの時代から、むしろさらに後退している非合理主義が存在し続けているのである。
ブレヒトの戯曲もあった。ガリレオの生き方は、今日の我々にも多くの事を語ってくれる。幽閉されている時にも、『新科学対話』を書き、後の世に地動説が認められることを工夫して書きあげた。『裁判では負けたが、わたしは負けていない」。
1968年、ガリレオの死後3世紀以上も経ってから、ガリレオを有罪とした異端審問の裁判の見直しが、教皇パウロ6世によりやっと始められた。そして、教皇ヨハネ・パウロ2世の時に教皇庁科学アカデミーは、ガリレオ事件について、「率直に認めるべき過ち」であるとの見解を発表した。
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