「秋葉原殺傷事件」携帯書き込み

「彼女がいないのが元凶」「負けっぱなしの人生」　　　　　　　　　　　　　　　 容疑者が携帯電話の掲示板に記載したと見られる事件前数日間の書き込みは、最高で１日約250回。
　「ユニバーサルスタジオで家事とか　どうせカップルだらけなんだろう　幸せ者は死んでしまえばいいんだ」（6月2日、事件6日前）
　「自殺はいけないこと、って誰が決めたのさ」
　「迷惑がかからない方法で？　ふざけんな　やるなら、できるだけ他人を巻き込んでやる」
　「後輩に彼女ができたみたい。幸せ自慢を毎日されてる。いい奴なんだけど、自分の中のどす黒い感情が抑えられない」（6月4日）
　「勝ち組はみんな死んでしまえ」
　「俺がなにか事件を起こしたら、みんな『まさかあいつが』っていうんだろう」
　「（小学時代は）親に無理やり勉強させられてたから勉強は完璧」
　「中学生になった頃には親の力が足りなくなって、捨てられた」
　「県内トップの進学校に入って、あとはずっとビリ　高校出てから８年負けっぱなしの人生」
　「土浦の何人か刺した奴を思い出した」

　５日、派遣先の自動車工場で、自分の作業着のツナギがないと騒ぎ、工場を飛び出す。
　「犯罪者予備軍って、たくさん居る気がする」
　「『誰でもよかった』なんてわかる気がする」
　「東京の道路って面倒くさい」
　「トラックで行くには無謀かもしれん」
　「死ぬまで一人、死んでも一人」
　「一歩踏み出したら、あとはいくだけ」

　「住所不定無職になったのか　ますます絶望的だ」（6月6日）
　「幸せになりたかったな」
　「やりたいこと…殺人」
　「希望がある奴にはわかるまい」

　8日未明までの書き込みは約3000回。大半が容疑者によるものと思われる。

　次は、フリーターのフリーライターの赤木智弘氏の10年間以上にわたるウェブ日記の書き込み。（杉田俊介氏の「誰に赤木智弘氏をひっぱたけるのか？」による）
　当然、赤木氏は実際に殺人を起こした経験はない。ただ、似たような感情の書き込みが見られた。

　社会の犠牲者である自分の内なる痛み（98年5月7日、8月6日、11月8日、99年6月16日）。戦後世代の既得権層への憎悪（98年7月7日、99年4月24日）。高齢者への批判（98年2月19日、9月24日、10月18日）

「広島の原爆被害者を祈っている連中の上に原爆が落ちるようにでも願っときます」（98年8月6日）
「俺はそういう画一化した連中をぶち殺したいんだ。存在価値のないものを滅ぼしたいんだ。破滅だ。殲滅だ。クソ野郎、死ね！！」（98年8月26日）
「街なんか歩いていると、明らかに「キチガイ（表記そのまま）の子供」が女連れて歩いてたりするでしょ。マジでムカツキマスよと。/あー、人殺してぇなぁ。渋谷の交差点辺りで何人も人ぶっ殺してさぁ。んでもって焼身自殺でもしたら最高だろうね。/ああ、たりぃ」

　氏の両親への憎悪と殺意については、前回触れた。

　今回の許されざる犯行の背後にある、こうした感情の歪み。社会や他人に向けられた憎悪感。家庭や地域コミュニティーの再構築と、プレカリアート化した若者が希望を持てる社会政策が早急に求められている。派遣労働をめぐり、人間らしい扱いを求めてたたかっている若者たちもいる。
　今回の事件で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。さぞ、ご無念だったでしょう。