トッペイのみんなちがってみんないい

透析しながら考えた事、感じた事。内部障害者として、色々な障害者,マイノリティの人とお互いに情報発信したい。

勇気ある提言/『拉致―左右の垣根を超えた闘いへ』

2009-12-16 02:04:10 | 読書
拉致―左右の垣根を超えた闘いへ
蓮池 透
かもがわ出版

このアイテムの詳細を見る


 拉致問題が、何故膠着状態を続けているのか。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の事務局長を務められ、現在は、家族会とも距離を置き、拉致問題解決への提言を続けられている蓮池透氏の勇気ある著書である。

 「はじめに」で紹介されている毎年ゴールデンウィークに開かれる大集会の異様な様子には驚かされた。壇上で発言するたびに、日章旗を振りながら「そうだ!」「けしからん!」「『朝日新聞』出てこい!」「NHKはいるのか!」などと激高する者達。軍服姿も見える。外には、右翼の街宣車。その演説は、自分たち家族会の発言と同様であり、愕然としたと述べている。

 救う会の幹部には、日本の核武装や北朝鮮への先制攻撃まで訴える過激なイデオロギーを持つ者が少なくない。当然、従軍慰安婦も、強制連行も認めない人達が、家族会の集まりにも出席して、発言すらしているという。

 マスコミも、政府も家族会の言うことも聞いていれば良いという立場で、積極的に動こうともしない。メディアも家族会の言動をそのまま垂れ流すだけで善しとしている。
 
 国民も、当初の拉致被害者の救出ということから、北朝鮮打倒という方向に流されていった。

 経済制裁も、ロシアや中国が同調しない限り、意味のない行為である。

 長年の膠着状態は、今までのやり方が相応しくないことを意味している。

 だから、粘り強い交渉が必要である。

 そうした勇気ある提言に、今、耳を傾けるべきである。

 家族会や、政府の今までの経過も書いてあり、冷静に判断する材料となるだろう。

付記
 現在、『死刑のある国ニッポン』(森達也・藤井誠二/金曜日)を読んでいるが、その文中に次のような指摘があった。

「左からの転向って極端に反対側に行きますね。(笑)。戦後右翼のフィクサーと言われた田中清玄とかナベツネ(渡邊恒雄)とか「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出する全国協議会)の人たちとか。そこにはかつて自分が帰属した党や組織やイズムへの憎悪のようなものが働いている。だから、そんな人たちの主張って、何となく過剰な情念を感じてしまってどうしても腑に落ちない。(森)」

「でも、たしかに歴史の修正主義の人たちの教科書運動や北朝鮮の拉致被害者の支援をしてこられた方々の出自をみると、ぼくも森さんの持つ違和感は共有できるな。(藤井)」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。