どろぼうがないた杉川 としひろ冨山房インターナショナルこのアイテムの詳細を見る |
担任の教師の影響だろうか、僕は、小学生の時から、植物を育てるのが好きであった。だから、植物を育てることが、テーマになっている本を探していた。
二つの王国の国境の家に泥棒が暮らしていた。二つの窓からは、二つの国の城がそれぞれ見えた。泥棒は、窓越しのその風景がお気に入りだった。
二つの国の町で盗みを働いて生きてきた。泥棒稼業に悪びれることもなく、泣いたこともなかった。ただ、淡々と泥棒を続けていた。
しかし、ある晩、猫の尻尾を踏んだことから、その家の住人に気付かれてしまう。逃げるのは御得意だが、手ぶらも何だから、そこにあった小さな箱を持って逃げ帰った。
箱に入っていたのは、小さな植木鉢。全く興味がなかった。でも、翌朝、小さな芽が出ていた。最初は気にならなかったのだが、そのうちに、窓辺でお日さまに当ててやり、水も欠かさずやるようになった。その植物の成長を見るのが楽しみになった。いつの間にか、泥棒をすることより楽しくなった。
泥棒は、畑を作った。とても面白く楽しかった。いつしか、今までに盗んできたものを、もとに家に帰しに行くようにさえなったのだ。あの鉢植えの草も土に植えてあげた。つぼみがついた。咲くことが待ち遠しかった。愛おしかった。
泥棒の作る野菜は、町の人には好評で良く売れた。二つの王国は、仲が悪く、政情の不安定さから、泥棒の売る野菜が町の人にとっては貴重な存在となった。
そしてついに戦争が始まった。町に野菜を売りに出ていた泥棒は慌てて家に駆け戻った。
彼の家も、つぼみをつけた草も倒されていた。泥棒は、生まれて初めて大声で泣いた。
学校で、読み聞かせボランティアをしています。
読んでみたいと思います。
図書館で借りていた本、チョンボして返すのを忘れてしまっていました。
ちゃんと返却して色々教えてもらった本を読みたいと思います。
先に予約をしとかんといけんかったわ。