つきとうばん藤田 雅矢教育画劇このアイテムの詳細を見る |
はじめは、この世界の物語だと思った。でも、絵本を読み進めていくうちに、異世界の話だと分かってきた。
その世界では、「つきとうばん」という仕事が、一生のうちに一回は回ってくる。ある冬の夜、郵便屋さんによってそれが、ある親子の家に届けられた。月と星の種がである。
春になると、父さんが種をまく。その世界では、夜空には、収穫までは月も星もない。「ぼく」からみた、月と星の栽培の記録。その世界では、村ごとに空の様子が違うようだ。畑では、苗が夜になると光ります。やがて、月と星の苗は、つぼみを付け、実をならせました。この星も月も実が食べられるのです。親子が星を食べた時、二人の頬は、星の色々な色で光りました。
それから、父さんは月と星を空に投げました。僕も、たくさんの星を投げました。残った月や星は、畑で育てることができない遠くの町に持っていきます。
でも、その年は、父さんがうっかり手を滑らせて、二つ目の月を空に投げてしまいました。月が二つの夜空の年になりました。
やがて、夜空に輝いていた月と星は、秋風が吹くころになると、空から落ちてきました。月は、おいしいパイになります。村人の楽しみです。その年は、大きなパイができました。月と星の種は、次の当番の人の家に届けられます。
僕は、父さんに次に「つきとうばん」が来るのはいつかなと聞きました。
僕が、父さんぐらいの年になった頃かなと答えました。
この世界とは違っているが、どこかでつながっているような気のする異世界でのファンタジー。