風に誘われて

あの山から、あの海から、私を呼ぶ声が聞こえます。
風が「行こう!」と誘います。
風に誘われて、さあ立ち上がろう!!

風に穂を揺らす麦畑

2009-09-30 | 北海道の夏 2年目 (2009)
この町に来たばかりの頃は、小麦畑の穂はしっかり空に向かい、
風が吹くと一斉にその穂先を揺らし、その様は風に流れる波のようで美しかった。



それが、晴天が続く数日の間に刈り取られ、
残った藁の部分はすぐにロールにまるめられ、
更に、その後、畑は掘り起こされ、麦畑は黒々とした土に戻ってしまう。



あれよあれよと思う数日の間に様変わりする畑の姿が、
農業経験のない私は珍しくて仕方がない。

                  

今日は、ちょうどトラクターで小麦を刈り始めた場所に出合った。
三人一組で仕事をしている若者。
何もかもが珍しくて仕方のない私は、この時とばかりに質問を繰り返す。

この畑は、この後何を植えるの?
この小麦は、薄力粉になるの?強力粉になるの?
この小麦は、パン用?麺用?
トラクターは一台幾らくらい(何千万円)?
一家で一台を買うのは大変でしょ?

その、どの質問にも楽しく答えてくれる、若者たち。
休憩時間を挟んで、トラクター運転を交代するということだ。

一般道路を走る時はトラクターを挟んで前後に一台ずつの車で誘導しなければ危ないので、
この作業をする時は、いつも三人で組んでいると言う。


                  


小麦畑での会話の間も、畑の中を風が流れる。
「綺麗ね、まるで小麦色の波の中にいるみたいね」と言うと、
「まさに波だよ。最初の頃は、揺れる穂の中で作業していると酔っちゃうんだよ」と笑う。
冗談かと思ったが、本当の話だという。
「麦畑で船酔いとは!」と笑ってしまったが、
これこそ経験したものでなければ出てこない言葉だと妙に納得した。

あの青空、あの白い雲、あの小麦の黄金色、あの若者たちの笑顔と会話。
そのどれもが、私の頑なな心をほぐしてくれる。
そのすべてに、素直に感謝。

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