神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語

2013-10-28 23:55:26 | 映画

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』

 

10/26 土曜日。『魔法少女まどか☆マギカ』の新作映画が公開された。前作までのTVリテイク版ではなく、完全新作である。

ネット上の予告編やtwitterなども完全無視で、できるだけ事前情報を入れないように臨んだために、危うく公開日を忘れるところだったが、めざましテレビのおかげで前日に気が付いたので、無事に予約することができた。その時点で午前0時からの初上映は予約で満席でしたがね。

そもそも、自分が『まど☆マギ』の存在を知ったのは、TV放送第3話の話題がネットで盛り上がったのがきっかけだったので、例の衝撃のシーンの内容を知ってから見てしまったという悔いが残っている。

逆に、何も知らずに見ることになった3.11後の10話から最終話までの怒涛の一挙放送の衝撃は今でも忘れることができない。

そのため、今回の映画についても、できるだけ事前情報を入れずに見るということにこだわったのだが、これでやっとネットのネタバレにおびえずに暮らすことができるようになった(笑)


で、見た感想ですが……やっぱり衝撃的だった。何を言ってもネタバレになりそうなので、できるだけ核心に触れないように書こうとは思うが、(劇場では映画の放映前に、いつもの注意事項に加えて、ネタバレ禁止の注意があります!)これ以降は劇場で見るつもりの方はスルーしてください。とにかく、衝撃的で予想以上に凄かったとしか言いようがない。


衝撃の内容をもう少し詳しく言えば、それは、少女たちの友情をテーマに、よくもこれほどまでに残酷なシナリオを書くことができたものだということだ。

“新編”は、あまりにも過酷で救いの無い旧作に心を切り裂かれたファンにとっての救いになるはずだった。

5人の魔法少女が、楽しげに、かわいらしく、かつ、華麗に絶対的な悪と戦う。それは日曜の朝に放送してもおかしくないような、たとえ背後にどんな哀しい運命を背負っていながも、友情を武器に助け合いながら、励まし合いながら、けなげに戦う少女たちを描くものであって欲しかった。

映画の序盤は、まさにそんな雰囲気の始まりだった。これこそ、ファンが望む『まど☆マギ』だったのだろう。

公式、非公式に関わらず、百合カップルとしてラブラブな魔法少女たちはもちろん、ぬいぐるみ的なキュゥべえやべべ(=シャルロッテ!)も姿通りにあくまで愛らしく、ナイトメアとのどことなくほんわかした戦いが描かれた。

しかしながら、なぜか付きまとう違和感。どこかがおかしい。何か言葉に出来ない不安が満ち溢れる。

そして、その違和感が説明されたとき、とても納得がいった。そうか、この違和感は正しかったのだと。そして、その理由に気付けなかった自分を責めた。すべては最初から明らかだったではないか。これは並行世界でもループでもなく、まぎれもなく続編なのだから。

そして、そういう終わり方もいいかなと思った。とても哀しく美しい友情世界の完結だと思った。

それなのに……やりやがったな、虚淵!(笑)


ファンが望む世界を作り上げ、さらにそれを奈落へ突き落す衝撃の展開。よくもまぁ、物語の上とはいえ、こんな“精神的に”残酷な展開を考えつくものだ。

“そこ”が閉ざされた世界であることが発覚した時、それは庵野がエヴァ旧劇場版で描こうとした「現実へ帰れ」というメッセージなのだと思った。円環の理にとらわれたファンよ、現実に帰れと。

そして、そのメッセージの載せ方は、衝撃的であっても旧エヴァのような無理矢理感は無く、自然な物語として受け止めることができ、また、ほむら達の成長の物語にもなりえる素材であり、とてもうまく考えたものだと思った。その時点では。

しかし、制作陣がそこで満足すると考えるのが間違いだった。浅はかだった。これが『まど☆マギ』なのだよ。これでこそ、『まど☆マギ』なのだよ。


描かれるのは少女の願いの大きさと絶望の大きさ。そして、それが招く悲劇。無敵のインキュベータでさえもが恐れ、支配しようとして逆に支配される程の強大な力。

映画の最後にアップで大写しされた、キュウべえでさえも怯える視線が見つめる先にあったものは何だったのか。

しかし、この先に物語は無い。おそらくは。何度も繰り返し表示された「完」「終劇」「Fin」「End」といったテロップが、物語の断絶を強く主張する。

……というか、この先を見たいか、お前ら?
そこには、やっぱり救いは無いと思うぞ。


ところで、マミさんを喰い殺すほどの力を持った魔女、シャルロッテの正体(新編ではべべ)は百江なぎさという小学生だった。この事実が、もっとも悲しい出来事なのではないか。そこまでの魔力を持つにいたった経緯を思えば……。