神なる冬

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コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] ガールズ・アンダーグラウンド

2010-09-07 23:22:08 | SF
『ガールズ・アンダーグラウンド』 秋口ぎぐる (朝日ノベルズ)





「アンダーグラウンド・ガールズ」ではなく、「ガールズ・アンダーグラウンド」。このあたりに年代的な言語感覚の違いがあったりするんだろうか。

〈大感染〉によって引き起こされた症状により、住民や居住エリアがS-A-B-Cとランク分けされた社会で、自由と平等を目指して“反政府活動”に巻き込まれていく少女のお話。

反政府活動の中で、電子書籍の普及で忘れ去られた紙の新聞が活躍するというのも興味深かったが、電子書籍が普及しているという描写もあまり無かったので、そこは深く考えられたものではなく、ご都合主義的な設定か。



(逆)差別による利権の発生と既得権益化というのは、昨今のネット界隈では注目を浴びつつある話題だ。外国人向けの生活保護が日本人の最低賃金より高いとか、確かにおかしな話はいくつもころがっている。しかも、差別がなくなるようにみんなに平等に配ったら、みんながビンボーになりましたという結末(結末というよりは、最後に匂わされるだけだが)も、福祉の拡大と財政難の板ばさみにある日本の現状を風刺している。

障ガイ者に高福祉をというのは常に財源との戦いではあるが、それと差別いくないは、果たして同じ問題なのかという気がする。

差別しないとはどういうことか。たとえば、車椅子の人に手助けをしないのは差別なのか、あるいは、満員の劇場に車椅子専用席を空けておくのは逆差別なのかということは、自分の中でも結論がでていない。

どこまでやれば平等なのか、どこまでやれば許されるのか。

もう、本当に難しくてよくわからんのよねぇ。