神なる冬

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コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] スワロウテイル人工少女販売処

2010-07-28 23:01:46 | SF
『スワロウテイル人工少女販売処』 藤真千歳 (ハヤカワ文庫JA)




読みずらい。ただひたすらに読みずらい。なんというか、華美すぎる文章が鼻に付くうえ、リズム感がまったく合わない。どこの新人賞落選作品かと思う。俺の黒歴史も刺激されるぜよ(笑)

ところが、ネットの評判を見ると、これがあんまり悪くないらしい。最近のラノベってこんな感じなんだろうか。

とにかく、キャラクターが突飛な上に、世界設定までが突飛。しかも、どうしてそうなってしまったのかが納得できず、理解に苦しむ。ファンタジーのようにそういう世界であるのだと割り切って読む必要がある。

キャラクターの行動理由も良くわからない。同一化して感情移入しながら読むというよりは、斜め上の行動を続けるキャラクターを愛でるというのが正しい鑑賞方法なんだろうか。

とにかく、いろいろボロボロなのだが、池上永一にも通じるような破天荒さだけは評価できる。SFネタも、感染する物語や国体維持といったところから、ロボット3原則の拡張や人類の未来への警告と展望まで含め、いろいろ重層的に詰め込み過ぎ。

しかし、著者が描きたいシーンやキャラクターだけは存分に伝わってくる。萌えと燃えが書きたいんだーという叫びが聞こえる。ただ、それが壮大な空回りをしているように見える。

波長さえ合えば、読書人生の原点ともなりうるパワーを秘めているとは思うのだが、俺にはダメだこりゃ。