神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動

2009-12-03 20:50:39 | SF
『パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動』 機本伸司 (ハルキ文庫)




あんまり買う気は無かったのだけど、本屋で立ち読みしたときに、冒頭の夢のくだりで大爆笑したせいで買って来た(笑)

映画化された『神様のパズル』と、その姉妹編『神様のパラドックス』の続編。主人公は『神様のパズル』の沙羅華と綿貫。
もちろん、綿貫はすし屋でもロッカーでもなく、ヘンな歌は歌いません。
そこに、『神様のパラドックス』の占い会社(笑)ネオ・ピグマリオンの樋川が行方不明者捜索の依頼をかけるというのが事件の発端
。しかも、著者の未発表作品のネタを使いまわしているという。

機本伸司といえば、壮大なSFネタのブレーンストーミングをそのまま小説にしてしまうというのが真骨頂。
『神様のパズル』では「宇宙を作るためにはどうすればいいか」を主人公達が延々と議論を行う。
『神様のパラドックス』では「神様をつくるためにはどうすればいいか」だった。
そして今度は「内宇宙をつくるためにはどうすればいいか」なのか?

インナースペースといえば、バラードかよって感じですが、なんか違う。
ネタばれを恐れずに言うならば、内宇宙というよりは、集合意識、ですかね。

今回は、“穂瑞沙羅華と綿さん”の元ネタ、“シャーロック・ホームズとワトソン”のように、行方不明者捜索という謎解きがメインになるのだが、さすが天才。ほとんど何もせずに居場所を見つけてしまう。とはいえ、それなりに捜索と潜入の手順を踏むので、小説の分量としてのブレーンストーミング部分は、どちらかというと控えめだ。

そこが物足りないといえば、物足りないのだが、以前に「登場人物がSFネタを議論するだけ」という批判を受けることが多かったことを考えると、正しい方向性なのかもしれません。

ただ、そこらへんの議論不足のせいか、メインの大ネタには納得がいかない。あれではただの誇大妄想だろう。
あっちとこっちのヘンな組織も、どこのトクサツヒーロー物だよというレベル。

著者には、もっと突き抜けたバカSFを書いて欲しい。それが出来ると期待していますので。


それから、沙羅華はどう考えたって萌えキャラだろう。綿さんはどう読んでも市原隼人じゃないが、沙羅華は谷村美月でいい。おまけにヤンデレ。『サマーウォーズ』だって、あの家族をカズマの中身の天才沙羅華が人知れず助けていたんだよ!