よみがえるクラーク記念館展を見学

2008-07-20 10:56:09 | 歴史と散策

 私が明治中期の赤煉瓦建造物が集中する同志社大学今出川キャンパスを訪れたのは、昨年の1月末で、その見学記を私のホームページに投稿(C-03-18、07‐01‐30付、214話)しているが、構内のシンボルといわれる「クラーク記念館」は改修工事のため覆い屋で囲まれていた。そして、昨年の10月10日付けの京都新聞によると、覆い屋が撤去され新装クラーク館が姿を見せたと報じたが、見学する機会が無かった。
 今回、同構内のハリス理化学館2階にあるNeesimaRoomで、第33回企画展として、「よみがえるクラーク記念館」が開催中と知り、一年半ぶりに見学することができた。
         
     企画展のガイド用パンフレット         新装成ったクラーク記念館の塔屋

 展示室でいただいた「同志社クラーク記念館」と題した18ページの冊子には、5ヶ年かけて実施された修復工事の経過が多くの写真付きで詳細に解説されており、工事の方針として、……今回の工事は「半解体修理」という方針で進められました。主な内容は、破損あるいは腐朽した箇所を健全な状態にする「修理」、詳細な調査と検討を行い、110年間に改造されてきた箇所を建設当初の状態に戻す「復元」、そして建物全体の「構造補強」の3つである……と書かれている。
 また工事は洋式でなく、寺院の保存修復工事の専門家や大工・左官・板金・塗装・煉瓦の職人などが延べ18500人工事に携わり、日本様式の工事であった。
本建物は国の重要文化財に指定されており、文化庁の補助金を受け、京都府教育委員会に委託して実施された。とくに目立った変化は塔屋の屋根瓦の色が緑青色の銅版から建設当初の黒い鉄板に変わったことと、途中撤去されていた屋根部のドーマー窓が復元されたことなどで、外から見えない形で構造補強された「クラーク記念館」は日本でも珍しい明治中期建造物の重要文化財の完全保存例といえると思う。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿