ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

柿の〝ガク〟

2018年06月26日 | 俳句

 今日は朝から雨…でもそれほどひどくはなかったので、午後出掛ける時には止んでいました。しかし、気温的には高く湿度も高かったのでしょう、蒸し暑い日でした。

 昨日に引き続き今日も俳句教室でした。

 ところで、昨日の句会で面白いことがありました。それは〈青柿のてんでに額より太りけり〉の句についてです。

 これを採ったのは1人。どこがよかったですか?と聞くと、〝青柿がそれぞれ太っていくのがよく見えて…〟と。

 〝ウン、そうですね。ちょっと見ないうちに大きくなっているものね。でも、額よりというのはどういうこと?〟〝そりゃあ、蔕の所から太っていくでしょ!〟〝じゃ、蔕って言わなくっちゃ…〟〝あれ、ガクと言うじゃあないですか。〟〝そりゃ、ガクとも言いますが、こんな字は使わないでしょ〟〝使いますよ!〟と、今度は作者も名乗り出て2人で反撃です。

 〝ガクと言うときは萼の字を使わなくては…〟私も引きません。〝だって、額紫陽花と言うじゃないですか?だから、この額という字でもいいんですよ〟と、2人の剣幕にタジタジ…。私も絶対違うとは自信を持って言えない。違うはずだけど…じゃああの額紫陽花の〝額〟は何?と。今まで考えたことがありませんでした。

 〝アッ、あったわよ。額紫陽花の説明が…中心には小さい碧紫色の花が多数密生し、周囲には大形の装飾花(萼片)が並び、その花の構造が額縁のように見えるからなんだって…〟〝へエッ、そうなんや~〟ということで、みな納得して一件落着。

 それで字の方は解決しましたが、中七が字余り。そこで、〝てんでに〟は〝てんでんに〟とも言うから、上五に持ってきたらどう?と言うと、これ方言かしら?と誰かが言い出す。すると、話が飛んで〝てんでんこ〟とも言いますよ…あの東日本大震災の津波の時、この〝てんでんこ〟で助かった所があるんだからね~…と話が終りません。

 そうなんです、津波てんでんことは、津波の被害を何度も受けてきた三陸地方沿岸部の人びとの“危機管理の知恵”で、津波から逃れるには各自てんでんこ(“てんでこ”とも言う。「てんでばらばらに」の方言)逃げろ、という意味なんです。

 まあ、こんな調子で、しばらくは句会そっちのけで、雑談会になってしまいました。それもまたタノシです!

 こうやって、いろんなことを次から次に話している内に〝ガク〟ならぬ〝学〟が身について、青柿のように太っていくんですよね。シメシメ。これこそが耳学問です。

 ちなみに〝ガクより〟とは比較の意味で〝いつの間にか萼より大きくなっていたから〟と作者。〝それじゃあ当り前だから、太りけりだけで十分ですよ〟というわけで、最終的に〈てんでんに太りてゆきて柿青し〉という句になりました。

 写真は、柿の〝萼〟、蔕(ヘタ)とも言います。それに青柿…またボケていますね。ゴメンナサイ!

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする