今日は朝から、第21回「俳句甲子園」防府大会の審査員を務めるため防府へ出かけました。
昨年経験して大体の要領は分かっていますので、それほど緊張はしませんでしたが、やはり疲れました。だって昨日は午後と夜の2回句会があったんですよ。連続はこたえます!もう年なんですね~。
今年の防府大会の出場校は、5校の7チーム。私は第二会場の三試合の審査でしたので、昨年よりは少なくて楽でした。
山口県立徳山高校・高森高校B・熊毛南高校Aの3校総当りのリーグ戦です。
高森高校Bは1,2年生チームで初めての挑戦のようでしたが、後の2校は3年生が多くさすが場慣れしていました。そういえば昨年見た記憶のある生徒もいましたね。
結果は、チーム戦では徳山高校の圧倒的な勝利でしたが、最優秀句は、熊毛南高校Aの川野愛里紗さんの次の句でした。
切りすぎの前髪朝を鳴く蛙
兼題は「蛙」、論戦では「朝を鳴く蛙」の個所で盛り上がった句。なぜ「朝の蛙鳴く」とせず体言(名詞)で止めたのかとか、「朝に鳴く蛙」ではなくあえて「を」の助詞を使った理由は?など、大人顔負けの指摘が出て、感心! 高校生たちもよく勉強していますよ。
最優秀句を決める時、私もこの句を推した一人ですが、つい昔のことを思い出してしまいました。
あれはまだ娘が幼稚園の頃でしたが、いつもは私が切っていた髪を主人が代わりに切ってやったんですって。私が家に帰った時すぐに娘が出て来ないのでどうしたのかと…見れば前髪がとても短くなっておでこがしっかり見えていました。
「あら、可愛くなったわねえ~」と言った途端、わあ~わあと泣き出してしまいました。「もう、幼稚園に行かれん~」と言って。後で主人に聞くと、「真っ直ぐにならんかったので、何回も揃えるうちに…」だと。
仕上がって鏡を見に行った途端に娘の顔が変ったんですって。後髪の方は見えないけど前髪って一番気になるでしょう?鏡見る度すぐに見えるから。こんな年からそうだったんですから、高校生なら何をかいわんや…でしょうね。
この句の場合はきっと自分で切ったのではないかと思いますが、朝登校する時、鏡を見て〝ああ~イヤだ!〟と悔やんでいるとき蛙の声が…。蛙は夕方から夜にかけて良く鳴きますが、今朝は朝から…〝雨にでもなるのかしら…〟という思いもあったかも。とにかくこの憂鬱な気分を「朝を鳴く」に込めたんだろうと評価しました。だからやはりここは「を」が効いています。「朝に」だったらやや説明的になり、作者の鬱屈した気分までは代弁しきれないでしょうから。
まあ、第一会場の方もありますし…さらに全国大会はまだまだ先のことですから、高校生の皆さん頑張って下さいね。
写真は防府大会第二会場優勝校徳山高校と最優秀句作者の川野さんです。受賞の挨拶に徳山高校が、自分たちは3年生で後がいないから今年が最後かも…と淋しいことを言っていました。もし本当なら名門徳山高校が消えることになってとても残念なこと。是非なんとか後輩を育ててまた出場して下さいね!応援しています。