ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

露の世は露の世ながらさりながら…

2024年09月09日 | 俳句

 今日は9月9日。陰暦では五節句の一つ「重陽」といって、陽の数である九が重なることから目出度いとして祝われます。別に「菊の節句」ともいって、菊を酒に浮かべて飲む慣わしやこの日に小高い丘や山に登るという「登高」。これらは天災や厄を避けて長寿をもたらすための中国の古い習俗で、それが日本でも中世以降に広まったものです。だから九を重ねるという意味では確かに陽暦でも縁起はいいでしょうが、「登高」や「菊酒」というにはちょっと早すぎるし暑すぎるような気がしますね。やはり、これらは旧暦の九月九日(今年は10月11日)に相応しい行事ではないでしょうか。

  重陽や海の青きを見に登る     野村喜舟 

  菊の酒醒めて高きに登りけり    高桑闌更

 さて、先日の9月7日も二十四節気の一つ「白露(はくろ)」といって、露が凝って白くなるという旧暦八月の節なんですよ。

  白露の日召されし父の形見かな   稲畑廣太郎

 この白露も年によっては8日になったりしますが、とにかくその日に〈召されし父〉の形見を見て感慨に耽っている作者でしょう。アッ、もしかして亡くなった日が白露だったのかも。ちなみにその父とは、高浜虚子の孫・稲畑汀子さんの夫、稲畑順三さんなんですよ。一体どんな形見だったんでしょうかね。

 ところで、そもそも「露」というのは、夕方から夜分、さらに明け方に気温の低下に伴って大気中の水分が結露したもので、秋の代表的な季語です。また、露は日差しとともにはかなく消えることから古来「露の命」などといって、生命の儚さにたとえられてきました。

 その「露」を詠んだのに〈露の世は露の世ながらさりながら〉という小林一茶の有名な句がありますが、これは最愛の幼い娘を亡くして、いき場のない悲しみを一茶が詠んだもの。その気持が何度読んでもひしひしと伝わってきます。以前義母が亡くなったときにも書いたような…。

 それをまた書いているということは…そうなんです。実は「白露」前日の6日、甥の葬儀に実家へ行って来たからなんです。甥は私の長兄の長男、2年ほど前から闘病生活をしていました。病状がよくないということを聞いて、私たちがコロナに罹る前の7月15日に見舞いに行ったばかりなんです。それから2ヶ月にもならないというのに…享年57歳でした。余りにも若すぎますよね。でも兄も退職寸前の59歳、義姉もコロナ禍の始る直前に亡くなりました。母と一緒に本家を守ると言っていた兄が余りにも早く逝き、その後は義姉が何かと母の世話をして実家を守ってくれていました。それが母が亡くなると、その後3年足らずで。そして、その後を継ぐといった甥もとうとう…他の兄弟やその子どもたちはみんな元気だというのに。どうして本家だけがと…私にはもう里帰りする家がなくなったようでとっても淋しいです。

 よく悪いことは重なると聞きますが、まさに今年の我家は厄年なんでしょうか。コロナの後遺症で散々ヒドイ目にあったというのに、今度は主人が何かを取ろうとして椅子から落ち、診て貰うと肋骨にひびが入っていました。そのため大分まで初めての鉄道の旅です。厚狭駅までは車、そこから小倉駅まで新幹線、それから特急ソニック号で大分まで。駅には弟が迎えに来てくれていましたので、その車で葬儀場へ。

 その日は絶対車で来た方が楽だったとブツブツ言っていた主人も…帰ってから日に日に痛くなるらしくて、今は家でおとなしくしています。年を取ると転んだりしてもすぐには痛くなくて、大したこと無いと安心していると、その後がなかなかよくならないんですよ。特に高齢者は骨折などがダメ!考えると、まだまだ何かが起こりそうでコワイんですが、十分に気を付けますね。

 というわけで、写真の花は甥の葬儀で貰ったもの。どんなに美しい花に飾られてもイヤですよね。生きている方がいい!でも…お父さんとお母さんに…ああ、お婆ちゃんにも会って、安らかに成仏して下さいね。 合掌


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2 コメント

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そうですね~~ (うばゆり3)
2024-09-09 14:53:23
こんにちは。

>旧暦の九月九日(今年は10月11日)に相応しい行事ではないでしょうか。

そう思いますね。
頂いたカレンダー、今日は救急の日なんてあります。
かといって、混乱もするので、いつもは新暦で生活してます(;^_^A 今日は蒸し暑くて・・・

>生きてるほうがいいですね。
ほんと、そうですね(^^♪
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Unknown (Unknown)
2024-09-09 21:22:07
>うばゆり3 さんへ
>そうですね~~... への返信
こんばんは!
俳句ではやはり季語が一番大切ですからね。その季語の季節感がなくなったら単なる報告になるんですよ。
ということは、真っ盛りの菊が馥郁と香る時期でないと…。また、登高しても気持のよい青空、即ち天高しの季節感がなくては…ということです。
でも、俳句以外のことではみんな新暦ですよ、私も。
これからは益々地球温暖化で季節感が失われていくと思いますが、日本独自の俳句では日本の四季をしっかり残していきたいと思っています。
だからもっともっと季節を大切にして生きていきたいです。うばゆりさんもね…ヨロシク!
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