うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

貴方だけの特効薬

2024年07月27日 16時27分21秒 | ノベルズ
「アスランさん、凄い熱ですよ!」
<ピー!>という電子音に、靄がかかったような意識から何とか重い瞼を開いていく。
見れば、メイリンが体温計を見ながら、どうしたらよいのか慌てている。
昨日まで風雨の中、潜入調査を続けていたせいだろうか。場所が場所だけに女性であるメイリンを危険地帯に潜ませるわけにはいかず、ターゲットが動き出すまで三日三晩、ろくに飲食せず調査を続けていた。ようやくまとまった報告ができ、コンソールで送信したところまでは覚えているが、そこから先の記憶がない。
一体、何時ベッドに横になったのだろう。
俺が起きてこないことを訝しんだらしいメイリンが俺を見て、青い顔になったところで、また意識が混濁した。
そして先ほどの電子音がはじき出したらしい、俺の現在の体温は39.2℃。
「大丈夫だ。このくらい。今日の任務に戻らないと・・・」
ようやく動きを掴んだところなんだ。この後の情報如何で、どれだけ彼女が助かるだろうかと思えば、この機を逃すわけにはいかない。
起き上がろうとする俺の身体を、何とかベッドに押しとどめようとするメイリン。
「駄目です!キラさんも言っていましたけど、アスランさんの「大丈夫」は「大丈夫じゃない」って!」
「いや、本当に大丈夫だから・・・」
そう言ってまたも起き上がろうとするが、身体が言うことを聞かない。
「ちゃんと寝ていてください。でないとカガリさんに言いつけますよ?」
「それは困る。」
『カガリ』―――その名を聞いて、瞬間的に脳と体が反応する。
彼女を助けたくてこうして無茶を承知で任務にあたったんだ。でも彼女なら俺の状況を聞いて、直ぐに察するだろう。

―――「私がお前を無理させてしまった」と―――

一番守りたい人を心配させてどうする。
だから猶更、起きて定時連絡をしないと。
「なぁ、メイリン。」
「なんですか?」
「カガリに、俺が倒れたこと連絡しないでほしいんだが。」
「でも・・・」
「頼む。心配かけたくないんだ。」
「・・・わかりました。でもそれまでは、きちんと寝ていてくださいね?」
そう言ってメイリンは解熱剤と水の入ったグラスを用意してくれる。
キャバリアーの中には救急の医療セットも整っている。その点非常にありがたい。
「もし、俺が定時に起きなかったら、起こしてくれないか?」
「はぁ~・・・了解です。ともかくそれまでは、キチンとおやすみになってください。」
そう言ってメイリンが空のグラスを下げて部屋を出ていく。
一人になって、無音の部屋で一人、白い無機質な天井を見るのも飽きて、右腕で目を覆い隠す。
「一体何年ぶりだ?こんなに発熱するなんて。」
自問自答しながら呆れる。コーディネーターの俺が、そんな程度で倒れるわけにはいかないのに。
そういえば、アカデミーで射撃のテストの日も、発熱したことがあったな。イザークが「俺が一番だ!」と散々自慢してきたっけ。
苦かった思い出が、一周回って懐かしい。そう思いながら、また心地の悪い意識の混濁に落ちていった。


―――続きはこちらから。


***


ちょこっとだけ短編かき上げてみたので、支部のほうにUPしてみました。
お目汚し品ですが、お気が向きましたらどうぞv
以前もアスランが倒れた話は書いたことありましたが、前提が既にアスカガ結婚後の設定でしたので、こうして本編沿いの任務中のifを書いたのは今回が初めてかな。
普段が完璧なのに、体調が思わしくないと、弱音はいちゃうときってありますよね。ましてやアスランはプライド高いので、絶対に誰にも言わない。たった一人、『カガリ』という人を除いては・・・
無人島の時はそうでもありませんでしたが、#31の慟哭の空で、カガリの前で散々泣いて弱音も悲しさも悔しさも、綯交ぜになった感情を吐き出せたのが大きいと思います。ちゃんとそれに耳を傾けて、その上で説教(ある意味これがアスランの薬になった気がします)かましてくれた、真っ直ぐなカガリ。彼女がいわばアスランのプライドとか、大人から見た「いい子」である道を通ってきたアスランを、一回ぶっ壊してくれましたもんね。止めはラクス様が刺してくれましたが(苦笑)それがアスランの視野やモラトリウムの立て直しにつながっていくわけですから。
精々甘えるがよろしい♥(笑)

***

そして、昨夜未明からパリオリンピックが始まりましたね(^^ゞ
開会式は録画で見ましたけど、セーヌ川から入場とか、聖火ランナーがあんな風にバザールの屋根の上を走ってきたりするとか、最後はコンシェルジュリーでエレキギター、ガンガンかき鳴らしたり…マリーアントワネットもびっくりですよ(237年前なら)💦
でも、フランスの歴史だったり、今でも世界の先端を行くファッションやブランド品を作っている様子や、街自体がもう芸術品みたいなのを追ってくださったので、日本に居ながらにしてパリを楽しめた感じです♥ いつもなら競技場で行われる開会式が、コンコルド広場という離れた場所で行われたのもまた斬新。いいよね、開会式のチケット争奪戦にならずとも、セーヌ川沿岸で無料で選手入場も見られますし。レーザーバリバリのエッフェル塔も初めて見たわ✨ 大阪万博公園の太陽の塔の「目からビーム!」を思い出してしまったわ(笑)
これから熱戦が始まりますね!選手の皆さん、頑張ってください!(*≧▽≦*)ノシ

コメント
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