★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男2(84)

2017年06月13日 | 短編小説「義腕の男2」
その辺りまで説明を聞いていると、突然警報聞きなれない警報音が鳴りだした。
Mr.Bが携帯電話を取り出した。警報音はその携帯電話から響いている。
Mr.Bは携帯電話のディスプレイを見た後すぐに通話し始めた。
「・・・・えっ?空飛ぶコンテナ?・・ああ・・わかった」
通話が終わると注目している俺たちに顔を引きつらせながら言った。
「我々が乗ってきた停泊中の潜水艦からの連絡です。ザビ国の潜水艦が領海を無視し追跡してきたそうです。その後沖合10Km付近で停船、浮上。そして甲板から四角形のコンテナ状の物体が1個飛び出し、超低空飛行でこちらに向かっているとのことです」
「空飛ぶコンテナ!やつらの仲間ね。どのくらいでここに?」
「約10分後です」
クリス博士は、ちょっと考えた後、部屋の片隅にある金属製の棚から黄色のチューブを取り出し、俺に手渡した。
色違いだが、やばい薬「加速剤」と同じチューブだ。
「危ない時に使って」
「これは?」
「そうね、あなた専用のパワーアップ剤ってとこかな。加速剤よりは安全なはずよ」
俺がチューブを受け取っていると、Mr.Bが再び携帯電話でどこかと話をし終わり、皆に向かって強い口調で言った。
「ここからは、飛行機で移動する。10分後にオリバー20が来る。すぐに着替えるんだ。時間がないぞ」
 オリバー20とは、最近配備された垂直離着陸小型輸送機で、20人乗りの最新型機だ。
 俺は、ベッドから降り用意してあった戦闘服に着替えた。あらためて体をチェックしてみると義腕の右腕と新しい左足は当然全く無傷。生身の部分も所々細かい傷があるがたいしたことはない。
 他の3人も戦闘服に着替えると病院の屋上に向かった。
 屋上にはドクターヘリ用のヘリポートがある。オリバー20はここを目指して飛行してくるがまだ姿はない。
 Mr.Bは、腕時計を見ながら西の方向を見ている。
「来た」
 こちらに向かってくる豆粒のような機影が見えたかと思うと、見る見るうちに大きくなってきた。
かなりのスピードだ。