★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男(6)

2010年03月03日 | 短編小説「義腕の男」
 唯一の心配といえば、今度の仕事に俺の右腕のオーバーホールが間に合うかどうかということだ。

 13:00時、俺はヤマト准将の部屋で、新しい任務内容を聞いていた。高価そうな大きいマホガニーの机をはさんで、准将は恰幅の良い体を、これまたでかいサイズの革張り椅子にはめこんだまま、手を軽く振った。
 先ほどまで窓の姿をしていた壁面から、一瞬で窓が消え地図が写し出された。
「中尉は物質伝送装置についてはどのくらい知っているかね?」
と准将は俺に尋ねた。
「物質伝送装置」とは、どんな物でも瞬時に別の場所へ送ることができるという昔から考えられていた夢の機械だ。
 もちろん、現代でも研究が進められているはずだが、完全に成功したという話は聞いたことがない。たしか、理論上は可能だとのことで、でかいビルのような機械を組んで、数ミクロンの金属を伝送し成功したものの、その際、その装置が電力を食いすぎて都市の電気が1時間ストップしたうえ、どう間違ったのか、伝送先での金属は数千度になっていて、送られた瞬間蒸発してしまったという、いわくいつきの代物だ。