鏡花水月紀。

日々の言の葉、よしなしごと。

大元神楽。

2008-06-02 | 日々のこと。
1日の山王さん。
夕方まで来客が続き、けっきょく今年も御輿は見ることは適いませんでした。
ですが、代わりに特別協賛奉納行事として行われた
島根県江津市に伝わる「大元神楽」を見ることができました。

神楽は本来、その土地の神様に捧げるものだから
(あるいは神が降臨して舞う)、
島根の神楽をよそで見られるなんて、とても貴重な機会です。

大元神楽には、神社の神職自らが舞う「神事舞」があり、
神懸りの宣託の古い儀式を伝承されていることから
国の重要無形民俗文化財に指定されているのだそうです。
神楽は神事も含め夜通し行われるのですが、
それも神懸かり託宣を目的、クライマックスとするために、
神楽が舞われるのだそうです。

今回は氏子さんたちによる社中、川戸神楽社中の皆さんの舞い。
演目は鈴鹿の山に住む鬼人を坂上田村麻呂が退治する「鈴鹿山」と
異国からきて人々を苦しめている第六天の悪魔王を
八幡麻呂が退治する「弓八幡」でした。

時間の都合で見たものは午後7時からの「鈴鹿山」。
以前、福井県若狭町の宇波西神社で舞われる「王の舞」を見にいった時の、
素朴な田楽のイメージをもっていたら、
幕からいでし人(田村麻呂)の姿にびっくり。
目もくらむばかりの金糸、銀糸の縫い取りが施された
それはそれは絢爛豪華な衣装でした。

流れるように舞うヒーロー田村麻呂が、
いざ鈴鹿へまいらん・・・と鈴鹿へ向かうと、
里人がこれを出迎え、宝剣を捧げて無事を祈ります。
やがて太鼓、小太鼓、鉦、笛の囃子が荒荒しくなり、
背後の幕が大きく波打ち、煙幕と花火と共に、
鬼の面、禍禍しく黒い衣装を纏ったヒール役の鬼人登場。
田村麻呂がひらりひらりと身をかわす軽やかな舞いに対し、
鬼人は髪を振り乱し、怒りをあらわにしたまさに鬼気迫る舞い。
相くみ打つうち、剣も弓も鬼人に奪われあわやという田村麻呂、
ここぞと里人からももらった宝剣を手にし鬼人を討ち果たします。
最後は鬼人の首を手にした田村麻呂が静々と、
舞い納めて終わりました。

見ながら、物語の母型が…などといらぬことを思いながらも、
能に近い舞を楽しんで見ました。
秋の祭礼のときには夜通し、これらの神楽が舞われるのだそうです。
本来の土地の神様のもとで行われる舞は、
よりいっそう深く響くものでしょう。
いつか行ってみたいリストにまた一つ、です。

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