昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

昭和少年漂流記:第四章“ざば~~ん”……33.交錯する不安

2013年10月02日 | 日記
交錯する不安 松が淵に関する義郎の不安は日を追うにつれ希薄になっていった。そして、やがて以前のように、松が淵はただただ懐かしく温かく、かつて家の近くにあった小さな祠のように、そこにあるだけでどこか心強い存在となっていた。 「義郎ちゃん、私ね、最近何も不満がないんだけど、それが不安になる時もあるのよ」 1989年初夏。春に田舎に呼び戻した弟義和の結婚式の帰り、優子がふと漏らした。 「いいこと . . . 本文を読む