昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

昭和少年漂流記:第四章“ざば~~ん”……28.転落の軌跡 ①

2013年09月11日 | 日記
転落の軌跡 ① リビングの窓が稲光に白く輝く。屋根瓦を稲妻が音を立てて通り抜けていく。小休止していた雨も、また激しくなったようだ。倉田興業のみんなはきっとやきもきしていることだろう。 義郎はテーブルに置いた軽トラのキーを手に取り、駐車場へと階段を下りようとした。ドアノブに手を掛けると、電話が鳴った。 「は~~い」 優子からだと思い急いで出たが、電話の向こうは長沼だった。息せき切っている。 . . . 本文を読む