第二章:1969年:京都新聞北山橋東詰販売所 とっちゃんの宵山 ① 2010年11月01日 | 日記 玄関ガラス扉を開けて正面、2階へと続く階段の下から3段目に、とっちゃんは大股開きで座っていた。タバコを挟んだ人差し指と中指を鼻の穴に突っ込み、入り口に向かってVサインをしているように見えた。 「ごめんくださ~い」。ちょっとひるんだ僕は、ぺこりと頭を下げ、小声で挨拶をした。 するととっちゃんは、フィルター部分まですっぽり口の中に納まっていたタバコを引き抜いた。ジュポンと音がしたような気がした。 . . . 本文を読む