★夜空あり虚々実々の心太 正子
○今日の俳句
翡翠色潰さず盛りて豆の飯/佃 康水
豆飯の緑は、「翡翠色」というほどきれいだ。その色を保って炊き上げるのも難しく、きれいに炊き上がったときは、大変うれしいものだ。まん丸い翡翠色をつぶさないように、茶碗に装う。目をも楽しませる豆飯は、季節感あふれる食だ。(高橋正子)
○沙羅(しゃら)の花(夏椿)
[沙羅/横浜日吉本町]
★沙羅の花捨身の落花惜しみなし/石田波郷
★咲くよりも落花の多し夏椿/松崎鉄之介
★夏椿思へばそんなやうなひと/行方克巳
★亡き母のものに着替へん沙羅の花/斉藤志野
夏椿(ナツツバキ、学名:Stewartia pseudocamellia)は、ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。別名はシャラノキ
(娑羅樹)。仏教の聖樹、フタバガキ科の娑羅双樹(さらそうじゅ)に擬せられ、この名がついたといわれる。原産地は日本から朝鮮半島南部にかけてであり、日本では宮城県以西の本州、四国、九州に自生し、よく栽培もされる。樹高は10m程度になる。樹皮は帯紅色でツルツルしており「サルスベリ」の別名もある(石川県など)。葉は楕円形で、長さ10cm程度。ツバキのように肉厚の光沢のある葉ではなく、秋には落葉する。花期は6月~7月初旬である。花の大きさは直径5cm程度で、花びらは5枚で白く雄しべの花糸が黄色い。朝に開花し、夕方には落花する一日花である。ナツツバキより花の小さいヒメシャラ(Stewartia monadelpha)も山地に自生し、栽培もされる。 ナツツバキ属(Stewartia)は東アジアと北アメリカに8種ほど分布する。
これが夏椿だと最初に意識して見たのは、愛媛県の砥部動物園へ通じる道に植樹されたものであった。砥部動物園は初代園長の奇抜なアイデアが盛り込まれて、動物たちにも楽しむ我々にものびのびとした動物園であった。小高い山を切り開いて県立総合運動公園に隣接して造られているので、自然の地形や樹木が残されたところが多く、一日をゆっくり楽しめた。自宅からは15分ぐらい歩いての距離だったので、子どもたちも小さいときからよく連れて行った。その道すがら、汗ばんだ顔で見上げると、夏椿が咲いて、その出会いが大変嬉しかった。このとき、連れて行った句美子が「すいとうがおもいなあせをかいちゃった」というので、私の俳句ノートに書き留めた記憶がある。緑濃い葉に、白い小ぶりの花は、つつましく、奥深い花に思えた。
今住んでいる日吉本町では、姫しゃらや夏椿を庭に植えている家が多い。都会風な家にも緑の葉と小ぶりの白い花が良く似合っている。
植物とは全く違う話だが、まだ夏椿の花を見たことがないとき、かぎ針編みの模様に「夏椿」というのがあって、自分に似合うと思ったのだろう、この模様で製図までしてベストを編んでしばらく着た。
★夏椿葉かげ葉かげの白い花/高橋正子
◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)
○今日の俳句
翡翠色潰さず盛りて豆の飯/佃 康水
豆飯の緑は、「翡翠色」というほどきれいだ。その色を保って炊き上げるのも難しく、きれいに炊き上がったときは、大変うれしいものだ。まん丸い翡翠色をつぶさないように、茶碗に装う。目をも楽しませる豆飯は、季節感あふれる食だ。(高橋正子)
○沙羅(しゃら)の花(夏椿)
[沙羅/横浜日吉本町]
★沙羅の花捨身の落花惜しみなし/石田波郷
★咲くよりも落花の多し夏椿/松崎鉄之介
★夏椿思へばそんなやうなひと/行方克巳
★亡き母のものに着替へん沙羅の花/斉藤志野
夏椿(ナツツバキ、学名:Stewartia pseudocamellia)は、ツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。別名はシャラノキ
(娑羅樹)。仏教の聖樹、フタバガキ科の娑羅双樹(さらそうじゅ)に擬せられ、この名がついたといわれる。原産地は日本から朝鮮半島南部にかけてであり、日本では宮城県以西の本州、四国、九州に自生し、よく栽培もされる。樹高は10m程度になる。樹皮は帯紅色でツルツルしており「サルスベリ」の別名もある(石川県など)。葉は楕円形で、長さ10cm程度。ツバキのように肉厚の光沢のある葉ではなく、秋には落葉する。花期は6月~7月初旬である。花の大きさは直径5cm程度で、花びらは5枚で白く雄しべの花糸が黄色い。朝に開花し、夕方には落花する一日花である。ナツツバキより花の小さいヒメシャラ(Stewartia monadelpha)も山地に自生し、栽培もされる。 ナツツバキ属(Stewartia)は東アジアと北アメリカに8種ほど分布する。
これが夏椿だと最初に意識して見たのは、愛媛県の砥部動物園へ通じる道に植樹されたものであった。砥部動物園は初代園長の奇抜なアイデアが盛り込まれて、動物たちにも楽しむ我々にものびのびとした動物園であった。小高い山を切り開いて県立総合運動公園に隣接して造られているので、自然の地形や樹木が残されたところが多く、一日をゆっくり楽しめた。自宅からは15分ぐらい歩いての距離だったので、子どもたちも小さいときからよく連れて行った。その道すがら、汗ばんだ顔で見上げると、夏椿が咲いて、その出会いが大変嬉しかった。このとき、連れて行った句美子が「すいとうがおもいなあせをかいちゃった」というので、私の俳句ノートに書き留めた記憶がある。緑濃い葉に、白い小ぶりの花は、つつましく、奥深い花に思えた。
今住んでいる日吉本町では、姫しゃらや夏椿を庭に植えている家が多い。都会風な家にも緑の葉と小ぶりの白い花が良く似合っている。
植物とは全く違う話だが、まだ夏椿の花を見たことがないとき、かぎ針編みの模様に「夏椿」というのがあって、自分に似合うと思ったのだろう、この模様で製図までしてベストを編んでしばらく着た。
★夏椿葉かげ葉かげの白い花/高橋正子
◇生活する花たち「あさざ・山紫陽花・コアジサイ」(東京白金台・自然教育園)
(御礼)
正子の俳句日記の今日の俳句に「翡翠色潰さず盛りて豆の飯」をお取り上げ頂き正子先生には素晴らしい句評を賜り誠に有難うございます。これを励みに益々精進して参りたいと思います。
「俳句鑑賞」
夜空あり虚々実々の心太 正子
心太は半透明でプルンとして、しかも水が流れる形に突き出されています。見た目にも如何にも清涼感が溢れ、喉越しも良く爽快感に満ちた食材です。そこで、作者は椀の中に夜空の星(銀河)を見つめておられるのでしょうか。銀河は大宇宙の中の一部分で有って分からない部分の方が多い。それを虚虚実実と表現され、心太に大宇宙を見つめておられるスケールの大きな御句です。