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ゆっくりかえろう

散歩と料理

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初ものがたり

2012-12-27 | 読書
宮部みゆき氏著
江戸の香りがする岡っ引き本所 回向院の茂七の不思議話に絡んだ捕り物帖 前作でも少しでていましたが これは本格的に活躍しています。 食べ物の描写がリアルで 生活感があり あ、これは池波氏の世界に似ているなと思いました。
短編集を読み終えても謎は深まるばかり 先を楽しみに後書きを読んでみると 先はまだ書いてなくて 未完ではないけれど いまだ続きを書く余裕がないという まことに多作な作家の 憎らしい(笑)解説でした。
そういえばこの作家 他にもこういう話があったなーと思いながらも 罪なことをするなーと 悔しがりましたが 隆慶一郎氏のように 働き過ぎてなくなるのも 日本の損失なので 文句を言わす待つことに決めました。
…と云うくらい面白いです。
あと平仮名と漢字の使い分けが 巧みであると感心したこと。推理の基本がホームズみたいで分かり易く感じたことです。

いわさきちひろの絵と心

2012-12-20 | 読書
松本猛著 絵いわさきちひろ

絵本作家 また挿し絵画家のいわさきちひろの生涯
そして作品のエピソードを 彼女の一番の理解者 実の息子の猛氏が書いています。

素晴らしい絵に説明はいりませんが この人の解説なら有り難いです。

ちひろの絵のモデル自身の言葉は 何よりも絵を分かり易くしてくれます。

単なる美術解説にならず 家族の温かみが感じられる美術書です

皆さん方がしっている 人魚とろうそくの挿し絵も ちひろの作品ですよ

幻色江戸ごよみ

2012-12-13 | 読書
宮部みゆき氏著 名もない江戸の庶民の悲哀を描く 人情たっぷりの短編集 ホラーでありながら 怖くない不思議話集

主人公の多くは 商家の使用人 番頭や手代 丁稚や女中 名もなく貧しく美しく 明日を夢見て地味に励む毎日。

味わい深い昔の江戸に迷い込んだような 不思議な気分が味わえます。

これはこの土地で生まれたものだからこそ書ける 皮膚感覚の文章だと思います。

最後の花吹雪の話は、先日亡くなった中村勘三郎さんを連想しました。

本所深川ふしぎ草紙

2012-11-19 | 読書

宮部みゆき氏著 
  昔々の江戸の町を舞台に ちょっとしたミステリーが展開されます
  本所あたりは 七不思議という今で言う 都市伝説があって
  これを枕に お話が作られていきます

  けして本物の怖いものは出てこないですが うまく話がつながって
  人情話が綴られています。

  生きた江戸がそこにあるような 江戸を知らない上方人でも
  理解できる小話の数々は じんわりと頭にも心にも滲みてきます 

最後の作品 消えずの行灯が特に好きです。宮部さん 素晴らしい作品をありがとう

 




かまいたち

2012-11-09 | 読書
宮部みゆき氏著
初期短編作品集 原型は作家になる前のものらしく その割には 完成された素晴らしい出来栄えのものばかり。これは続編が楽しみだと後書きを読んでみると このまま続編は書かないつもりだと 書いてありました。うーん 残念です。例によってオカルトものに形を借りた人情話がほとんどであり 表題作などは推理もの、江戸町人の細やかな人情の機敏を描いた作品群はリアルです。

あやし

2012-10-29 | 読書

宮部みゆき氏著
これは怪談集らしくちゃんと怖いです。
ただ宮部さんらしく それ以上の作品に仕上がっています。
幽霊も鬼も妖怪も 多くは人の内側にある怨念 執念であり 一番恐いのは 人間自身である
読んでいてそう思いました。

舞台は江戸、時代も場所も畠中恵さんのしゃばけシリーズに 微妙にかぶっていて
江戸の町の繁華街がリアルに浮かびます。
あちらは喜劇 こちらはサスペンスとスリラー。両極端だけど どちらも楽しい。読者は贅沢ですね。
中でも安達家の鬼 という短編。主人公は過酷な生い立ちと人生ながら 人を恨ます 妬まず 強欲をもたず
淡々と生きながらやがて自分の理解者に巡り会えます。

 悪人には恐ろしく見える鬼が 副主人公にはみすぼらしく 悲しそうに見える
 それは鬼ではなく 自分自身の影だと気づく読者が どれだけいるのかなぁ
 とちょっと興味を持ちながら 鬼さえ見えない主人公の暗い人生にも
 一筋の光明の見えるラストシーンが宮部作品を好きにさせてくれます。


 他の作品も江戸情緒たっぷり 優しさたっぷりの作品です。


司馬サンの大阪弁

2012-10-20 | 読書

日本エッセイストクラブ選定の 1996年度版の年間ベストエッセイを集めた本

表題は 田辺聖子さんのもの
期待を持って読んで 期待以上のモノを書くのって 並大抵の実力ではありません。

しかも何のてらいもなく 肩肘張ることもなく 楽しく温かく懐かしい。

人に聞かせたいことを 素直に書く 
いい文章のお手本ってこういうものなんだなって思いました。

ここに書いてあるエッセイは どれもこんな感じでした。

どれもいいけど 私は 表題作と 掌と  淀川長冶さんの作品がお気に入りです。


愛は勝つ、もんか

2012-10-10 | 読書

姫野カオルコ氏著 例によって又あの女史です。

題名から笑ってしまいます。インパクト有りすぎ。何をそんなに苛立っているの?
と聞きたくなるほど パワフルで 独善的で決めつけているのです。

だけど一理あるからまた始末が悪い 目が離せない。面白い。 歌の批評に関しては もう人生幸朗師匠(故人)以上です 。

やっぱり悲しい 自虐的だ。負け犬の遠吠えを書いた女史より 逃げ方がヘタです。
身を削って本を書くところなど サイバラさんと同じだと思います。 或る意味エライ。そしてツライ。
彼女のことを 男の気持ちの分かる作家さんだという人がいるそうですが 中味はそれ以上に女らしいです。

 しかしいくらなんでも 人は中学時代 一番不潔でいやらしい時期だというのは
 さすがに言いすぎだと思います。
 性的に抑圧されずに育った者は それほど性的に頓着しないものもいるし オクテで
 そのままぼうっと育った人も居ます

 全部が全部100じゃないんです。

 情報の少なさ 経験の浅さからくる あせりはありましたが それを不健全と思う
 こと自体 すこし過剰反応だと思いました。


おそろし 三島屋変調百物語事始

2012-10-02 | 読書

宮部みゆき氏著
 いつもはやらない あらすじを書いてみます。

東海道川崎の宿屋の娘おみつは 訳あって 江戸神田の袋物問屋三島屋で預かりの身。

それというのも 彼女は心に深い傷をおって心を閉ざし自分を責めているので 両親が叔父叔母に彼女を預けたのです。

叔父は一計を案じ 荒療治を施します。三島屋の二階で おみつに世間から広く百物語を集めさせ それを彼女一人が聞いて判断し 要約して三島屋主人に聞かせるという仕事をさせます。

やがて話は思わぬ方へ流れてゆき 彼女は奇妙な事件に巻き込まれてゆきます。 


おどろおどろしい題名 百物語が出て来ると云う解説に、怪談集だと思いこんで読み進めたら 肩透かしを喰らいました。

それらは単なるお膳立てで、確かに幽霊話は幾つか出て来ますが 本文は極上の人情話 或いは文学作品でした。

人の心の怖さ 優しさ 美しさ 人の世の儚さ辛さ 温かさ 全てくるんで纏めて自然に語りかけてきます。

 どう転んでも 作者に悪意が感じられません。

それにしてもかつての江戸の人は 今より賢く 気働きがきいて 深く考え行動し 美しい生き方をしていたんだなぁと 思いました。

それともう一つ 作者の優しさ強さに触れて 何だか嬉しくなりました。怖いけど悲しく美しく優しい作品です。

  


明るい食品偽装入門

2012-10-01 | 読書
魚柄仁之助氏著
物騒な題名ですが けして犯罪の勧めではなく 帯装幀に書いてあるのは 食品偽装術=台所の工夫術なのです。昔の精進料理のもどき料理を作って楽しんだり 代用材料を美味しく美しく作ったりと 「明るい」というくくりがあるとおり どこか理科の実験的好奇心と 世間のブランド主義をからかったりする 遊び心が感じられます。
なかには市販品よりちゃんとした本物を作って いかに消費者が無知であるかを知らせてくれる場面もあります。
メニューを読めば読むほど 料理のヒントが湧いてきて 人まねではなく 料理を工夫する大切さを教えてくれる本です。
レシピには麩を使ったニセカツ丼 卵からすみ とんぶりキャビアなど ちょっとチープで食べたらニヤッと笑えるような 或いはピーナッツをすり潰して本物志向の純粋ピーナッツバターを作って味わいます。てんかすを使ったかすサンドや 麩のすき焼きなどは洒落てて笑ってしまいます。

世界の旅猫105

2012-09-30 | 読書

新美敬子氏著
文庫本版動物写真集世界中(南米と中南部アフリカを除く)の猫を訪ね歩いて撮った写真集
猫達に 警戒の表情がみられず さすが動物写真家だと思いました。


スタジオのタレント猫と違い警戒心の強い大人の町猫を これだけ近接で しかも柔らかい表情で写真にとれるものではありません。


中でも飼い主と一緒に撮ったものはリラックスした、いい表情をしています。

作者は、猫と出会う旅が面白く 写真を撮り続け やがてそれが仕事になった幸せな人です。

写真の中の猫は「なあに?」「ん?」「暇です」「おやつちょうだい」
と話しかけてくるような表情に 思わず笑みがこぼれます。


ブスのくせに! 最終決定版

2012-09-28 | 読書

姫野カオルコ氏著
前に読んだものの 書き足し訂正版でした。改めて読んで感じたのは 作者は顔フェチ 或いは顔マニアではないかということ 実に細かく美人を分析しています。モチロン自分はブスであると繰り返し 抜け目なく自己に対する直接的な批判を 避けつつ 美人の造り 概念 考え方など 詳細に定義しながらも 姫野ワールドにしっかり迷わせてくれます
こういう考え方もあるのかなぁと軽い気持ちで読むのが 一番ストレスなく読めます。浜美枝と岸田今日子さんを 美人と言い切っているのに驚きました。ウチの母が同じ事をいっていたからです。(さすがに古すぎてリアルでは存じ上げませんが)
ブスのくせに!という表題は 自分のことを棚に上げてよく言うよという意味にとりました。
彼女の分析を指しているものは ブスではなく 醜女 ブサイクな顔ですから。
こうして書くあたり彼女は昭和平成の清少納言なのかも。

カバーの端の近影の作者のお顔(部分)を拝見しましたが 間違いなく美人でしたよ


怒涛の虫

2012-09-28 | 読書

西原理恵子氏著
久し振りの理恵蔵作品 相変わらずカラッとしてて読んでてラク。本人の意志とはうらはらなのかもしれないけど これは大事なことです。生きることも 生活することも 息することさえ ヘタな彼女が 時には落ち込み 時にはキライな人を嘲り 誹り 自嘲気味に笑い悲しむのを 見ていると、読んでる方も 同調したり反発したりで 飽きてきません。なぜか彼女の伝法なものいいの中に か弱い女の子を感じてしまいます。
でも 本人がこんな感想を書かれているのを 知ったらきっと「ケッ」っと笑うでしょうけど。
あ、これじゃあ読書レビューにならないので 内容も少し。サイバラさんの 家族のこと 昔のペットのこと まあじゃんほうろうきを描いてた前後のことなど よしなしごとの漫画を交えたエッセイ。人間はウソとマコトと弱音で出来ていると思う 今日この頃


堪忍箱

2012-09-27 | 読書

宮部みゆき氏著
江戸の昔の人情話 ちょっと不思議な話の短編集 作者の優しさ賢さが文章に現れています。情景描写より 登場人物の感情描写の方が多いと感じるくらい 考え悩み悲しみ喜ぶ 主人公の姿が 細やかに描かれています。それがちっとも嫌みに感じられないのは 態とらしさがなく 自然なストーリー展開と 先を急ぐでもなく 遅れるのでもない 絶妙のテンポがあるから。今作品も怪談を期待して買い求めたのですが その期待は裏切られましたが それ以上の収穫がありました。