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ゆっくりかえろう

散歩と料理

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鋼の魂 僕僕先生

2014-11-09 | 読書

 仁木英之氏著 

 シリーズ第6弾 旅の行き先は中国奥地雲南に来ました。

雲南は今は中国の一部ですが、ここが本来は 昔中原にいた民族が漢族に逐われて平和に暮らしている国だと知ります。

そこヘ本国から侵略の魔の手が迫っていることを知る事になります。

僕僕先生とその一行は雲南の人々を助け土地に伝わる伝説の神を引っ張り出し人々を救います。

今回は劉欣さんがその仙骨を使って活躍します。

前回からの旅の道連れ チベットの王子で医者のドルマくん 苗族の女の子蒼芽香ちゃんも皆で戦います。

互いの能力は高く 王弁くんを上回りますが でもお互いは知らず知らず王弁くんを中心に動いていきます。

シリーズはのんびりとした味を残しながらも 熱血の様相を帯びて来てワクワクドキドキなお話に変貌してゆきます。

私は読んでいて段々楽しくなり嬉しい展開を喜びます。

反面、今の中国となんら変わらない漢民族の恐ろしさを味わいます。

今 周辺諸国を侵略しているこの国の原点を見る思いです。

この国は体制に拘わらず 本質は変わらないのです。


天の梯(てんのかけはし)

2014-11-03 | 読書

 高田郁氏著 

みをつく料理シリーズ完結編。

たった一冊でちゃんと纏まりました。収まるべきものは収まるべき所へ みんな幸せにそして肝心の主人公は一番いい解決法を見つけて 最後は人の善意がこの様に動くという 座りの良い終わり方です。

不自然なく また過不足なくとても時代劇的完結です。

走りすぎない急ぎ過ぎないお話は 書き下ろし作だからこそです。

料理もいつも上方が優れ江戸が劣っていると言うのではなくちゃんと江戸の料理の素晴らしさを示唆したお話がでて 素晴らしいです。

続きは読みたくない この澪を幸せのままにしておいて下さい。作者さま。。。  


みゆき晴れ

2014-10-29 | 読書

 高田郁氏著 

人気シリーズ第9弾 物語は佳境に入り澪にも弟子が出来 いよいよ自分の望みを達成するための準備段階に入ります。

 しかし望みが高すぎて 達成するための山さえ見えて来ません。

ここで話の成り行きから摂津屋さんが絡んできます

しかしこれも敵か味方かわからない、澪は誰も当てにしません。

ただ本当に澪を思ってくれる人たちに巡り会い 感謝しながらお話は最終回に向かって進んでいきそうです。


 ストーリーはあくまでもゆっくりマイペースで進んで行きます。


 私の希望としては 別に料理中心の楽しいドラマで充分だと思うのですが 吉原などの煌びやかな色の表現 匂い立つような色気などは是非入れて頂ければ 楽しいドラマになると思います。


 漫画(おせん)のような作品が私は好きです。


特別な殺人やアクションはなくとも、争い事は在るし 御寮さんが何時もいう料理人は料理で戦いなさいというのは 読者からみたらちょっと難問だと思います。

つくづく訴訟で解決する現代社会に生まれて幸せだと思います。


ひなこまち

2014-10-26 | 読書

 畠中恵氏著 

しゃばけシリーズ まだ文庫本は出ておりません。

若旦那は偶然どこかの誰かからのSOSを拾います。物語はここから始まります。

若旦那はいくつかのエピソードをこなしながら、誠実に困った人達に手を貸し助けて やがて本命の困り人を救います。

仲のよくなった市の助さん 寛朝和尚 古着屋親子 夢を食べる獏 日限の親分 さる殿様 一冊全部何らかの繋がり(美人コンテスト)を通してお話は続いています。

短編としてよく纏まっています。他のしゃばけシリーズを読まなくても一応は楽しめそうです。但しちゃんと理解するなら人物相関図と 前書きは最低必要ですけど。

畠中恵さんのお話の主人公は皆さん優しくて でも自身は弱っちくて情けなくて 愛されるキャラクターなのです。久し振りに若旦那らしいお話でした。 


あんじゅう 三島屋変調百物語事続

2014-10-10 | 読書

 宮部みゆき氏著「おそろし」からのシリーズ。袋もの問屋三島屋の店主の姪は預かり娘ですが心に傷があり これを癒やそうと始めたのが 世間様の怪談話を聞かせて貰い 彼女のリハビリに活かそうという趣向で始めたのでした。あんじゅうはシリーズ第二弾です。

よその文庫と重複するものがあり 逃げ水は既読で 仁木先生のさびしい女神に出てきた日照り神のお話でした。

表題作あんじゅうは面白く可愛らしく 物悲しく哀れで(正体はまっ黒くろすけ?) 真に宮部さんらしい作品ですが 後味はややすっきりとはいきません。

全四話600ページは疲れますが 新しい登場人物が沢山出てきてだんだん賑やかなお話しになりつつあり続きが楽しみです。

全体にややまどろっこしさが感じられ初期の頃の切れ味は薄れましたが その代わり温かさがあります。

 


先生のかくしごと 僕僕先生

2014-09-23 | 読書

 仁木英之氏著

僕僕先生シリーズ五作目

前作寂しい女神からだんだん先生の正体が知れてきます。鈍感な王弁くんだけが分からないようですが 読者は僕僕先生の正体に気づきます。

でも相変わらず僕僕先生は可愛らしく 王弁くんにはツンデレだし旅の仲間はゆるゆるだし 幸せな王弁くんなのです。

先生は仙人なので性別はない筈ですが 女性らしく複雑な心を持ち合わせた神様なのです。この辺がこのお話しの魅力なのですが王弁くんは益々頼もしく男らしくなっていき、でも先生の前では 相変わらず悩み多きただの男なのです。


eleven tsuhara yasumi 11

2014-09-20 | 読書

 津原泰水氏著 待ちきれなかった私の一番好きな作家さんです。

やや難解な文章は読み進めるごとに ある旋律を持って流れていることに気がつきます。慣れれば心地よく読みやすくなり 猟奇文学の匂いもしてワクワクします。姫野カオルコさんに通じる怖さ(彼女のミステリーもかなり怖い)もあります。とはいえかなりのマニアック度が高く読みにくいかもしれません。文章は文学しておりファンタジーとかとも違うので好き嫌いが表れると思います。

この短編集は好きな人向けかな。たまさか人形堂とか蘆屋家の崩壊から入れば入りやすいです。


僕僕先生シリーズから学ぶこと

2014-09-11 | 読書

 僕僕先生を読んでいると今更ながら漢民族の恐ろしさを知ります。それは侵略と征服と殺戮の歴史に他ならない。国際問題で揉めている現代 充分参考になります。作者は中国留学までしているのでさぞかし 中国贔屓かと思ったら 中国の漢民族はあまりお好きじゃ無いようで 今の中国国内にいる少数民族にシンパシーがおありのようです。漢民族は千年も二千年も昔から 拡張主義と他民族(漢民族以外)追い出しと殺戮の歴史を繰り返し 体制が変わろうが 国がある限りその活動は変わることはありません。ここで学ぶべきはかの国とは話し合いとか理性でもなく ひたすらの防衛と攻められない外交が必要だということなのです。

甘いことを考えていたら 近いうちに国をとられます。私は主戦論者ではありませんが これは遠い未来ではありません。学校は中国史東洋史をしっかりと教えないといけないと切実に思います。

過去の歴史を学ぶということはこういうことだと思います。この小説はそんな意味を含んでいると私は思います。 


僕僕先生シリーズ

2014-09-10 | 読書

 文庫本中心に読みたい本を探しているのですが、なかなか古本屋では見つけられず、文庫も少ないので苦労しているのです。休日に一年ぶりに図書館に立ち寄ってみると 去年なかった棚が充実していて読みたかった本が沢山見つかりました。

畠中さんも宮部さんも増えていました。一通り借り尽くして一段落した後だったらしく 読みたい本が不自由なく借りる事が出来ました。ハードカバーばかり贅沢な読書です。

こういうのを灯台下暗しというのですね。


残月

2014-08-11 | 読書

 高田郁氏著 人気シリーズ第8作目  いよいよ物語は佳境入り  ます。
 新しい登場人物が現れます。服装を構わない絵師の先生…って、葛飾北斎? それなら連れの皮肉やの戯作者は 滝沢馬琴?(犬と添う女の話=八犬伝) おりょうの息子が絵の才能を正式に認められ 暗く不安なおりょう夫婦の希望が見えてきます。
 姿を消して逃げ回っていた澪の主筋で御寮さんの息子佐兵衛がとうとう見つかります。
 御寮さんの気持ちは息子の今の気持ちに納得しやがて澪を縛っていた 一つの事を解いてくれます。
 だんだん物語の先が見えて来そうで次第に霧が
 晴れてくる気分ですが 素直に終わらないのが この物語でしょう。
 いい加減めそめそ泣いていないで、話を纏めて欲しいなぁといいたくなります。それくらい登場人物は皆泣きすぎで 喜怒哀楽過剰は付き合う読者が疲れます。
 そろそろすっきりとした愉快な展開を望みたいのが本音です。
 主人公は周りの人の望みを寸尺してどれも叶えようとするから前に進めないのですが、やがてそれも澪を応援する人々の骨折りと寄りかかる人々の自立を持ってその呪縛から解かれ やがて澪は自分の本当の望みに向かっていく機会をつかんでいきます。


夏天の虹

2014-07-22 | 読書

 高田郁氏著 人気シリーズ第7弾 次第に主人公は先鋭化して行きます。自分の思う料理の道が見えてきます。女としての喜びを脇に置いて 進んでいる自分の道を見つけていきます。誰の為でもない 自分のやりたい道が見えて来ます。
 想い人には気の毒ですが 今回は忍ぶ恋の玄斉医師に拍手をおくりたいです。この人はいじらしく優しく 押し付けがましくなく私はとても好きな登場人物で、この人こそ報われるべきだと思います。
 頑張れ!
物語は 二転三転し 禍福はあざなえる縄のごとし の言葉どうり悪いことと良いことが一時にやって来ます。澪は希望の星と波乱の星を両方眺めます。
 またしても 彼女の運命を変えるのは火事のようです。
 次巻を早く読みたいです。


新・日本の七不思議

2014-07-09 | 読書
 鯨統一郎氏著 よく似た名前の人がありますが、違うようで こちらは推理作家らしいです。 
 このお話は早乙女静香と宮田六郎の対談形式で行われますが 物語の流れはその中身にあり物語そのものは興味が湧く内容では有りません。
 つまり日本の七不思議を書きたいが為に物語形式にしてあるようです。これは普通に私はこう思いますと書けば またつまらない輩が寄り付いて揚げ足を取ることへの保険のようなもの 物語の中なら架空の人物の台詞として語られますから 煩わしいハエを追えるのです。作品を書くには誠にやりにくい世の中になったものです。  
お話は日本人はどこから来たか 邪馬台国の 万葉集 空海 本能寺の変 写楽 真珠湾攻撃の七つを上げていますが 日本の七不思議として正式に決まったものではなく 作者の自由なセレクトで書いているものです。
 どれも異説や珍説ばかりで世間的常識の範囲を超えた説ばかりですが読み物としては 面白く読めるようにかなりひねってあります。  読んでいてあまり目新しい突飛な説はないと思われますが それだけお話は言い古されたポピュラーなものばかりのようです。
 それでも結構面白くいやじゃない異説ばかりです。織田信長は自殺だったなどという説は私も考えたことが有り 何か書きたいな と言うことも考えましたが お話としては面白く有りませんから止めました。お話を作り出すのは難しいです。

心星ひとつ

2014-06-30 | 読書

 高田郁氏著 人気シリーズ第6弾 澪に大きな転機が訪れる。天満一兆庵の再建が大きく進むであろう話が二つも来て 澪は周囲のことも気にして、二者択一で大いに迷います。お話は二転三転して上手く纏まりますが最後に来た三番目の話は澪が女自身として幸せになるお話でした。
 このまま終わって仕舞うのかなという期待半分 残念半分の中 またどんでん返しがあります。

このお話の良いと思うところは 作者の都合で弄らず 彼女自ら道を選び出して行くことです。
 話を続ける積もりなら突然の不測の事態が訪れて 彼女の望みがたたれるという設定も有りうるわけで 並みの小説ならそうなったでしょう。
 それをしないストーリー作りは 読者を安心させまた続いて読みたくなる気にさせます。

 素晴らしい筆力は良質の時代劇をほうふつとさせ 美しい場面の描写はこのお話しが映画やテレビドラマになればいいのにという期待までさせる程です。


柳生刺客状

2014-06-17 | 読書
 隆慶一郎氏著 一連の隆ワールドのなかの一編。短編集。お馴染みの柳生宗矩や柳生兵庫介(尾張柳生の始祖)が出てきます。
 後の話も、作者急逝のため途中終了がありますが、ちゃんと終わりの話が大半なので安心です。この人は生きていたらとんでもない大作家になったと思います。

チヨ子

2014-06-01 | 読書
 宮部みゆき氏著  
 スリラーとファンタジーの短編集 作者の作品はドタバタしない、静かにじんわりと怖い。
 この世界に私たちと同居する 人の思いがこもった意識が残像のように残っています。 人には別段何もしませんが 見る人によっては怖いのです。
 表題作だけは怖さではなく懐かしさがあって暖かい作品だと思いました。
 いつもながら上手なミヤベさんです。