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世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

嘘ですべてを作った人

2017-10-19 04:17:05 | 黄昏美術館


ハンナ・バチェラー


画家の経歴は不明だが、かなり若い画家らしい。

今の時代の幽霊を何の疑いもなくそのまま描いている。

これは、嘘で全部自分を作った人の末路の一例である。

人から顔を盗み、形どころか色や性質まで、全部作り変えてしまった人間が、年をとるとこういう感じになってくるのだ。

まるで仮面のようだろう。顔が今にもとれそうだ。

舞台から下りれば、この人間は猿のように小さく汚いものになっているのである。
全部盗みで自分を作り、人に自分をやってもらい、自分は何もしなかったにもかかわらず、ひどくいい人生を味わったからだ。

何もしなかったがゆえに、中身が変容し、それゆえに顔がむやみに馬鹿になってしまったのである。

馬鹿になったとは、要するに、人間の運命を作る何かが崩れてしまい、自分の運命ががたがたにくずれてきたということだ。それゆえに顔が地震を起こしたかのように崩壊したのである。

まるでホラー映画に出てくる妖怪のようだ。この顔を見て、ぞっとしないものはいまい。

人間が嘘で自分を作りすぎると、こうなることがあるという、良い例を教えてくれる絵である。





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