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そんなことが、何度か繰り返された。父が残してくれたデータの中には、たくさんの星があった。だが、どの星に行っても、わたしは決して受け入れられなかった。美しい星があった。豊かな大気のありそうなすばらしい星があった。適度な太陽の光を浴び、快適な温度がありそうだ。だが、行こうと思っても、どうしても引力をつかまえられない。そしてたびたび、あの声を聞く。
ここに来てはいけない。
誰なのだ、と聞くことはもうしなかった。わたしはあれを、神の声だと思うことにした。たぶん、それぞれの星には、その星を創造している神がいるのだろう。わたしは、その神に、受け入れてもらえないのだ。
わたしは、どこに行けばいいのか。永遠の命を抱いて、どこで生きればいいのか。永遠にこうして、宇宙をさまよい続けるのか。リープはもう滅びたろう。装置の中にデータはあるが、永遠にあそこに帰れはしない。
そんな日々の中のことだった。いつものようにランダムを選んで時空を飛ぶと、しばらくして、わたしの目の前に、青い星が現れた。これは美しい、とわたしは最初に見たときに思った。目を奪われるほどに、美しい。緑と銀の星だったリープと、少し似ている。
青い色は、大量に水があるせいらしい。岩石らしいものも見える。大気のせいか、輪郭がぼんやりしている。穏やかな自転音が聞こえたが、わたしは耳をそらして聞こえないことにした。
わたしはごくりと生唾を飲み込みながら、その星に向かって泳いで行った。いつものあの声が聞こえてくるのを待ったが、それは聞こえなかった。わたしは驚きを隠せなかった。しばらくして、わたしは引力をつかんだ。それからは、あっという間だった。話に聞いたことがある。母の胎内から産道を通って生まれるときは、こんな感じなのだと。
迷いもしない神の助けの手が、引っ張ってくれるように、いつの間にか生まれているのだと。
(つづく)