共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

『ゆべし』は《かんのや》!

2019年03月04日 21時16分08秒 | グルメ
今日も雨の降り続く、肌寒い天気の一日となりました。よく『春に三日の晴れ無し』と言いますが、気づけば桃の節句も過ぎたというのに、なかなか春らしい陽気にはなりません。

ところで、小田原の教室で生徒さんから旅行のお土産を頂きました。福島県に行っていらしたそうなのですが、そのお土産というのがこの《かんのや》の『ゆべし』だったのです。 

《かんのや》の『ゆべし』は、《菊屋》の羊羹、《柏屋》の薄皮饅頭と並ぶ、福島県三大銘菓の一つです。他県の『ゆべし』は胡桃や胡麻を醤油や黒砂糖で味付けした餅米粉と捏ねて蒸し上げ四角や棒状にカットしたものですが、福島県では、



胡桃入りの生地の中にこし餡を入れて三角の茶巾型に成形し、芥子の実をふりかけたこのスタイルのものを『ゆべし』と呼んでいました。福島中央テレビでは《かんのや》のコマーシャルも流れていて、幼少期にいわき市に住んでいた頃にはよく観ていたものです。

私の子供の頃には、親戚の家に遊びに行くと必ずこの《かんのや》の『ゆべし』が用意されていて、あんこ好きな私は喜んで食べていたものでした。しかし、そんな当たり前のように食べていたこの『ゆべし』は、半生菓子ということもあってか、例えば何処かの百貨店で開催される《福島県物産展》のような催し物に出店されることがあまり無く、残念な思いをさせられることが多々あったのです。

早速帰宅してお茶の用意をしてから、心置きなく頂戴しました。

一口食べた途端、生地に滲みた醤油の香りと胡桃の香ばしさとこし餡の甘さが口いっぱいに広がって、幼少期の記憶がパァっと蘇ってきました。気づけば思わず涙を流していて自分でも驚きましたが、そのくらい感動的な再会だったのです。

山型や仙台にも『ゆべし』は存在していますが、私にとって『ゆべし』と言えば《かんのや》なのです。今日、こうして感動的な再会を果たしたことで、改めてその思いを強くしたのでありました。
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