共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

新たな障碍者支援のかたち

2018年05月22日 23時55分04秒 | 日記
今日は愛川町在住のシンガソングライターみらいあいこさんを中心としたメンバーで、平塚市内にある障碍者支援施設《Studio COOCA(スタジオクーカ)》にお邪魔しました。

通常、障碍者の就労支援というとボールペンの組み立てや部品の嵌め込みといった流れ作業が殆どで、そうした仕事を受注する障碍者側も選択肢の無さに違和感を感じつつも仕方なく就労しているという現実があるようです。

ただ、彼らにも芸術的発路というものがあって、心の趣くままに絵を描いたり造形に勤しんだりすることもあるわけです。こちらのスタジオの代表者の方はそうした面に着目して、こちらに通っている障碍者の皆さんに自由に製作をさせていたのだそうです。

ただ、それらはあまりに独創的なため、特に彼らの一番間近な存在であり理解者でもあるはずの親兄弟から「ただの落書き」「子供の手慰み」というレッテルを貼られ、指導者にも「たのむからあんな恥ずかしい落書きを推奨するのは止めてくれ」と念押しされることがあったのだそうです。

そんな中、こちらの代表の方が思い切った行動に出ます。銀座のギャラリーを借りて、彼らの作品の展示会を開いたのです。

すると、彼ら独特のポップな独創性に惹かれた外国人から作品を買い上げたいという要望が寄せられ、実際に作品が売れたのだそうです。これには代表者の方は勿論、今まで彼らの作品を一番蔑んでいた親兄弟に多大な衝撃を与えたのだそうで、引いてはその後の彼らの活動の原動力になったのは言うまでもありません。

今回はそうした御話を伺った後に、実際にスタジオで作品を見せて頂きました。ともすれば引きこもりがちな彼らですが、こちらでは挨拶をすると彼らの方から

「作品を見て下さい」

と言って、自らプレゼンテーションしてくるのです。その作品も



例えばこれはダウン症の女の子の作品ですが、どれもが非常に独創的で素敵なものでした。見てみると分かるのですが、どれもが非常にポップで明るい色調に溢れていて、細かな色分けを幾つも幾つも並べて重ねて、家でも人でも車でも実に自由なのです。

他にも



バッグやペンケース、ポチ袋といった実用的な物も販売されていました。

こうした『作品』が売れることによって彼らの就労支援になるのであれば、こんなにいいことはありません。こうした支援活動を将来的に厚木市や愛川町でも展開出来れば…ということでの視察でしたが、実際に目の当たりにして正に目から鱗が落ちる思いがしました。

今後どのようにして具現化していくか、まだ道のりはありますが、多いに参考になった視察でした。
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