【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

先輩の女

2006年04月07日 08時31分27秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
     
     
 【清美】


何時の頃からか, 酔っ払った真二を 女が迎えに来る様になりました。
其の女を最初に視た時、自分、直感で普通の女じゃぁ無い っと。

真二 紹介も何も致しません。
唯 「頼むっ・・・ 」 其れだけでした。
自分。「 姐さん 」 っと、自然に口に出して呼びました。
はにかんだ様に、少し頬染めました。あの真二が。

最初は 女の歳は自分よりも少し上かなぁ? っと想いました。
綺麗っかたです。トテモ。

 でもね。なんとなく陰がぁ・・・・



或る日 何時もの反省会を、何時もの飯屋で遣っていました。 
その日は 宵の口から雨が降っていました。
夜更けまでも、そぼ降る様に降り続いてました。

此の頃になると、真二。
自分に対して以前の様に 口を利きません。
聞いてみました。真二に。

 此の頃、あんまし何も言いませんけど?
                    っと。

「なにお言うねん・・・・」 魚の煮つけを 突っつきながら言いました。
「・・・・別にぃ・・・」 別なこと無いんですけど、言いました。

「 ・・・・・ 」 真二 黙った儘でぇコップ酒ぇ・・・

小さな躯を精一杯カウンタの向こうから伸ばし、
昔は細かった指で掴んだ一升瓶。
一升瓶から空いたコップに注ぎながら、おかぁはんが言います。

「かきちゃん、真ちゃんにグチャグチャ言われん様になったら、
  あんたもイッチョマエになった、ゆうことやねんでぇ・・・! 」 っと。

「・・・・そぉですんかぁ 」
「そぉやっ なに言うねん、お前にぃ・・・・ぁほかっ! 」

言いながら真二、何か考え事。しています。
此処最近、何かに憑かれたような感じです。真二
仕事は流石に手を抜きません。キッチリこなします。

醤油や何かのシミと 煙草の焦げ痕だらけのカウンター。
目の前には、食べかけの鯖の煮付けと 丼飯。
一段高めには、色んな料理が入った大鉢皿。並んでます。
立ち昇る湯気は、カウンター内の おでん鍋から。
おかぁはん、菜を刻みます包丁の音、軽やかに。

 その姿勢のまま、話します。

「まねぇ~じゃぁ、此処んとこぉ、なんぞ気に成ることあるん?・・・・なぁ 」

おかん。何時も真ちゃんっと、呼びます。 だからぁ・・・・・
おかんっと、目が合いました。直ぐに逸らされましたぁ・・・・
 っで、視線。戻りました。
戻ったおかんの視線 目配せにぃ?・・・・なんやぁ?
っで。入り口の引き戸に飛んだ視線 辿ろうとしたら、
背中で引き戸が、軋みながらぁ 開いた。
自分。後ろを意識しながら丼飯、掻き込みみました。

 飯、頬張ったら肩越しにぃ驚かされました。


「はじめまして 清美(源氏名)いいます 」
「 ぐっ!はっ!・・・・、ぁ!はぐっ、ハザジメマシテ があっ! 」 飯がぁ~!

比較的高めな和風カウンター。其れにあわせた様な 高目の木造の椅子。
自分、突然背後から挨拶をされたので、慌てて足置き真鍮パイプを蹴って降りた。
ツモリガ慌ててしまい、椅子を倒しました。

「あほっ、なにしてるんやぁ! 」
「ぁ、ズっジィイマセン・・・・」 
「なんやきたんかぁ、此処 座れ 」
「カンニンなぁ・・・・あかんかったぁ? 」

此れ、女を最初に視た時です。
自分、飯が喉で留まってました。
おかん、直ぐに其れに気付いてくれて、コップをぉ・・・!
必死で飲んだら、酒やった !・・・・。ァホオォ~!


咳ぃ、暫く止まらんかったです。


涙目で視た女。
長い髪の毛に 小さな雨の雫がとまっていました。
夜更けの 此の時間に、こんな女が何でこないなぁ処にぃ・・・?
って、何と無く思いました。

真二。笑ってます・・・・・!。
普段。笑わん男がです。


けど 声は乾いていました