横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

iOS7のマップアプリの第一印象

2013年09月22日 10時01分59秒 | 地理情報関連
 昨年の今頃、iOS6がリリースされ、その際はサンフランシスコに出張で来ていた。そして今年もiOS7のリリースでは、イギリスのノッティンガムに来ている。狙ってそうしたわけではないのだが・・・

 昨年のiOS6のマップアプリの品質に度肝を抜かされて、このブログに投稿した記事が、結果として広く様々の人に読んでいただけたのは、正直驚いたのだが、それだけマップアプリがスマホユーザーにとって欠かせないことを物語っていた。

 あれから1年、iOS7がリリースされ、私はノッティンガムでアップグレードをした。果たしてマップアプリはどうか?

 ここノッティンガムで、空港からカンファレンス会場であるノッティンガム大学まで路線バスで移動した。その時はiOS6のマップアプリを使った。道路は描かれているが、ラベルはとても少なくて「スカスカ」だ。ただ日本と違って、イギリスの地図はもともとそんなに詳しくない。だから、まぁ何とか使えた。そして、iOS7に更新して新しいマップアプリにしたら、道路の員数こそ変わらないものの、ラベルが縮尺に応じて適切に表示され、かなり使えるレベルになっていると思った。ただ、Googleマップにはバス停が掲載されているなど、そちらに軍配が上がる。

 日本の地図も見てみた。2500分の1ベースの都市詳細図のデータが依然として採用されていないのは、都心部での利用に大きなマイナスであるが、それ以外の地域での利用には、まぁ使えるレベル(以前は使えない、あるいはかなり使いづらいレベル)になってきたと思う。まだ元データの誤用(駅舎とホームの錯誤など、日本人ならまずしないミス)も残っているが、初期バージョンに比べると劇的な改善である。及第点だ。それにしても、このレベルで昨年リリースしてくれていたら、あんな大騒ぎにはならなかったのに、と思う。

 アップルもこの一年、マップアプリの改善のために相当な努力をしているはずだ。乗換検索アプリの会社を買収するなど、単なる地図表現の改善ではなく、利用者の行動支援という視点からの機能強化も着々と進めている。おそらく、アップルはGoogleと並んで、世界最大級の地図サービス提供会社の一角を占めることになろう。

 ところで、最近悲しい傾向がある。Googleマップが新しくなってから特に思うが、日本で高度に発展してきたカートグラフィッククオリティが、どんどん失われてきている。最近のGoogleマップは劣化が激しい。マップアプリの「グローバル化」によって、日本のカートグラフィックは排除されつつある。地図に関してはあまり頓着しないアメリカ人達の目線には、この視点はなかなか伝わらないかもしれない。

 いや、こう書くと日本の文化への浸食のように思われるかもしれない。確かにその面もあるのだが、もう一つ指摘しておくべき点は、利用者のマップアプリそのものの使い方の変化だ。私のように、非スマホネイティブ世代だと、地図の表現から全てを読み取ろうと努力するが、そうで無い世代はマップアプリは検索窓からスタートして、結果を地図の上に表示させる。つまり、マップアプリは検索アプリの一つになっている。だから、カートグラフィックのクオリティが少々低くても、目的を達成できる。

 個人的には、和製の地図の伝統を引き継ぐYahoo Japanのマップにはもうちょっと頑張ってもらいたい。Mapionにもだ。ただ、もう一つ深刻な問題は、Yahoo Japanの地図がどれだけ頑張ったにしろ、圧倒的多数のユーザーはGoogleマップしか使わないし、iPhoneではアップルのマップアプリしか使わないことだ。それが意味することは、利用者は「地図」の優劣に大きな価値を見出しているのでは無くて、検索ベースの行動支援ツールが欲しいと言うこと。「マップアプリ」は「地図」とは別もので、検索とナビ(車と鉄道)が一体化して、どれだけスムーズな行動支援ができるかによって、その地位が決まる。

 GoogleとAppleは競い合って、どんどん良いサービスを提供して欲しい。できればそこに、日本の高品質なカートグラフィックも採り入れて欲しい。そして、和製ベンダーは彼らを脅かすくらいの存在感を維持して欲しいと思う。


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