先週のOSGeo.JPカンファレンスの余韻もさめやらぬ(身体の疲れもとれず?)月曜日、今度は会場を東京に移して「OSGeo.JP東京ミーティング」が開催された。
会場は晴海トリトンスクエアにある、オートデスクさんのセミナールームをお借りした。大阪南港ATCとの共通点は、どちらも埋め立て地に位置するのだが、街としての集積度が(Tyler曰く)「全然違う」。
まず最初にTylerからのOSGeo財団の概要を説明した。OSGeo財団は「コミュニティのコミュニティ」であることが特徴で、地理空間関連の様々なプロジェクトの「傘」として、様々な機能を提供している。日本などの「支部」の活動もその一つで、こうした活動を通じて、世界的な視野で、FOSS4Gプロジェクトを支援していくのである。
終始落ち着いて話すTyler
続いて、Schulyerによる講演。
これがタイトル
大阪では、Geospatial and the Neogeographerというタイトルで講演をしたのだが、今度は、ちょっと違う。割とOSGeo寄りの内容にまとまっていた。GoogleMapsの登場がきっかけとなって、彼が勤務していたMetaCartaという会社で始まったOpenLayersというオープンソースプロジェクト、それがコミュニティによるコントリビューションを受けて瞬く間に成長していく過程、そしてOpenStreetMapへの関わり等を説明した。
事前に私が「大阪での君の英語はちょっと早すぎて、わかりにくかったよ..」と伝えたら、冒頭に「ゆっくりしゃべるけど、興奮すると早くなるんだ...」と言い訳からスタート。最初はとてもわかりやすいスピードだったが、案の定、徐々に(OpenStreetMapの説明あたりから)元通りの早口に...それでも、今日の彼の英語は、私が何回も聞いた中で一番わかりやすかった。
続いて、オートデスクの井上さんから、大阪でも行った「30分ライブのサイト構築」を実施。井上さんにとっては、ここがまさにームグラウンドなので、リラックスして25分ほどでサイト構築に成功。
まずは3分経過!
(井上さん、今回の会場手配、本当にありがとうございました)
そして、オークニーの”変な外人コンビ”、ダニエル・アントン組によるpgRoutingの説明とデモ。pgRoutingはいよいよ実用領域になってきたことが事例とデモとでわかる。
なぜか関西弁なまりのダニエルの日本語
10分の休憩をはさんで、事例セッションに入る。4つの事例発表で、私も興味津々のものばかりである。
第一弾は、パシフィックコンサルタンツの佐々木さんによる「オープンソースGISで日本の港を救え!」という意欲的なタイトル。
日本の港を救え!!!!
建設後50年ほどを経過し、日本の港湾は軒並み耐用年数が切れつつあり、メンテナンスが緊急の課題になっている(が、適正な管理と予算投下ができていない)。限られたコストを有効に活用していくためにも、FOSS4Gの活用が効果的であることを説明。Kowan Master(港湾マスター)と姉妹品のGyoko Master, Kuko MasterとMapGuide OpenSourceを利用したソリューションパッケージの展開をしていくそうである。(名前の付け方が何ともいい)
第二弾は、「Web2.0時代の住民参加型コミュニケーションサイト」と題して朝日航洋の嘉山さん、村田さんによる事例発表。MapServer, ka-MapというFOSS4Gツールに加えて、OpenPNEというOSSのSNSを組み合わせたシステムである。嘉山さんは「入門Webマッピング」に出会ってFOSS4Gの世界に着目し、この9月にはビクトリアのFOSS4G2007に参加して、ka-Mapのワークショップに参加して、晴れてPaulとLorenzoのまな弟子になったとのこと。すばらしい行動力である。
地図+SNSの事例を朝日航洋から
第三弾は、清水建設技術研究所の渡辺さんによる、「オープンソースGISを利用した社内空間情報利用支援システムの紹介」。社内に個別に存在していた空間情報(地質、地盤、活断層等)をFOSS4Gを活用してWebマッピングで配信できるようにした事例である。単なる導入コストだけでなく、システムの作り込みの自由度からもFOSS4Gの活用にはメリットが大きいという。
清水建設の渡辺さん
ところで、渡辺さんが持参したPC(写真の左側)、小生のものと同じだ。イーモバイルを繋いでいるところも同じ。思わず記念撮影!
あれ、全く同じだ!
最後の事例は、大阪でも迷コンピであった応用技術の林、木村さんである。今度は「関西の自治体活用事例紹介」ということで、MapGuide OpenSourceとそのアドオンツールであるMGAidの紹介に続き、(多分大阪府内の)都市における導入事例の紹介があった。
ところで、下記の写真であるが、MGAidを使ったデモをしていただいているだが、
応用技術の林、木村組
画面のよ~く右下を見ると、おやおや?
読めるかな?
ポリゴンの描画が出来る機能の一例として、何とこんなことまで....”おお、すばらしい!”と来場者に大受け。
それまでなかなか笑いが取れず、大阪と東京都では笑いの反応が違うとお悩みの林さんが、してやったりの笑顔であった。
ほぼぶっ続けの4時間半、参加者もそろそろ疲れが出てきたところで、待望の懇親会。オートデスクの井上さんの音頭で乾杯!
さあ、懇親会!
私にとっては、先週から続く、一連のカンファレンスの打ち上げ的な気分もあって爽快。ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございます。
準備期間の不足、人手の足り無さ、資金面での制限など、いろいろと制約があったにもかかわらず、カンファレンスには多数の熱心な参加者に恵まれたし、Webサイトもオープンできたし、少なからぬ成果があったと思う。これから必要なことは、継続的な活動であり、その点ではまだ課題がいろいろ残っている。ほっと一息が何ヶ月にもなってはいけないので、引き続き気を引き締めて、OSGeo財団日本支部の活動を継続していきたいと思う。
パシフィックコンサルタンツ佐々木様の
「新たな文脈のGISも出てきたらいい…」と
いう言葉が印象に残って、その言葉について
質疑応答の時に質問させていただきましたが、
「美しい風景を一緒に見た感動を共有するかの
ようなGISも…」とのご返答をいただき、とても
うれしかったです。
公共事業のためのGISとともに、バックパッカー
や、自転車・バイクのサイクリストの情報共有等
のためのGISがあったら楽しいなと思っていたので佐々木様の言葉に共感をさせていただきました。
(全然意味が違ってたりして…)
また参加させていただきます。
ありがとうございました。
>北城さま
「新しい文脈におけるGISの活用」は次回お会いするまでの僕の宿題ですね。
OpenStreetMapのような企画が日本支部からも生まれたらいいなあ、と思います。
OSGeo.JPのメーリングリストなどの場でそうした議論も出来たらいいですね。
今後ともよろしくお願いします。
来年は土(大阪は土もありましたが)日でお願いできないでしょうか?