横浜スローライフ -- My slow life in Yokohama

位置情報、地理情報に関するサービス、その他日常生活から思ったことを気ままに記す不定期のんびり日記

FOSS4G 2011 Osaka コアデイ

2011年11月27日 21時18分28秒 | OSGeo/FOSS4G
 大阪の2日目(11月12日)は、コアデイ。FOSS4Gツールの技術・事例紹介を中心に開催された。

 FOSS4G Osakaは、大阪南港ATCの6階で毎年行っているのだが、今年は6階に大阪市の関連部署が入居したこともあって、KOF(関西オープンフォーラム)自体を10階で開催することになった。その結果、ブースは10階、会場は6階と、移動はちょっと不便になってしまった。
 KOF会場でのOSGeo財団ブース

 KOFの一つとしてFOSS4G Osakaを開催する大きなメリットは、OSGeo財団以外のオープンソースコミュニティの皆さんと交流できることで、私も「ツアー」の時間に、いろいろなブースを見て回ることができた。おじさん(お兄さん)コミュニティに混じって、ひときわ年齢が低いのは灘高のブース。中高一貫校だから、中学生も結構混じっていて、将来恐るべしといったところ。

 Gérald Fenoy氏の「MapMint: Your SDI out of the box」
 ZOOプロジェクトの主宰者であるGerald氏が新たに進めている、統合的なSDIフレームワークMapMintの説明。これは、商用サービスとして提供されるらしい。

 中部大学の本多潔先生の「cloudSense - フィールドセンサネットワークの ためのクラウドサービスプ ラットフォーム」
 本多先生は、中部大学に赴任される前に在籍されていた、タイ(アユタヤ)にあるAITでの研究成果の発表

 揚げ物冷凍 だがうまい!

 6階の港が見えるレストランでOSGeo財団日本支部のランチパーティー
かなりのボリュームで、結局食べきれずに、折り詰めにして皆で分けることになった。

 ランチパーティでは、OSGeoの未来を担う?若手も参加。
 OSGeoキッズ登場!

 午後からは再び発表セッションが続く。
 続々参加者が集ってきて、最終的にほぼ満席状態になった。すごい。

 ひょっとしたら、この受付スタッフの魅力が大きな理由なのかも知れない・・
 受付のお手伝いをいただいた奈良大学の地理学科の学生さん達

 ネパールでの支援のお話と、高校の情報科の授業にGISを採り入れているという事例
 清教学園の竹中章勝先生の「ネパールの教育支援とGIS活用」

 元持卓也氏・山本拓矢氏による「Androidを用いたFOSS4Gツール紹介」

 京都大学生存圏研究所のEugenio Realini氏による「Improving goGPS: Java implementation, web applications and add ons」

 Joseph Fourier UniversityのJacques Lemordant氏による「An iOS Mixed Reality Browser with environmental queries using panoramics described in OSM」

 農業環境技術研究所の岩崎亘典氏による「ボランティアによる空中写真の幾何補正」
 岩崎さんは震災当時はドイツのボンで研究滞在中でありながらも、すばらしいリーダーシップとコーディネイトを行って下さった。それにあわせて、多数のボランティアがFOSS4Gツールを駆使して短時間に膨大な作業に協力していただけたことも本当にありがたかった。この発表の最後、岩崎さんが感涙にむせぶシーンも。

 そして、コアデイで最も感嘆の声を集めたのが、奈良大学の発表。
 震災直後、首都圏組が立ち上がりに苦しむ中、昼夜兼行のボランティアワークによって、機動力を最大限に発揮してくれた。その中核となったツールがQGIS。FOSS4G無くしては、この成果はあり得ない。
 奈良大学4年の田村賢哉さんによる「オープンがつくりだした学生による震災対応」
 「FreeやOpenの場は、学生にとって自分の力を発揮できる場所」「OSGeoは学生にとってチャンスの場でもある」という、これからを担う世代からのコメントは、大変に力づけられる。

 奈良大学におけるFOSS4Gの導入状況
 2010年にわずか十数名だったものが、2011年には200名まで大幅増!

 QGISに加えてGRASSも活用。なかなか本格的だ。(ピースサインは作成者の尾崎さん)

 昨年度までは国土地理院にいらっしゃった鎌田さんは、現在国土交通大学校に異動された。国土交通大学校は、公務員の研修機関であり、そこにおいて、QGIS等のFOSS4Gツールを活用する講座を展開していくという発表。高価な商用製品の場合、「これがいいので導入しよう」と思っても、予算獲得が困難であったり、時間がかかってしまい、結局研修で学んだ内容がすぐに活かせないことが頻繁に起こりうる。一方、FOSS4Gツールは、すぐに導入できるため、研修内容の記憶が鮮明なうちに実務で活用できるというメリットが大きいという。実際に、受講生からの評価も高いとのこと。
 国土交通大学校の鎌田高造氏による「国の研修機関におけるQGIS」

 マピオンは地図画像作成にMapServer等を活用していることは既に知られているが、今年度からOSGeo財団の団体会員になっていただいた。今回の発表は、震災後にマピオンが様々な情報提供を行ったことの発表。私も計画停電マップは大変役に立った。
 株式会社マピオンの松浦慎平氏による「マピオンの震災対応」

 時系列の対応内容

 基盤地図情報WMSや迅速測図のWMSなど、日本のオープンな地理空間情報サービスにおいて大きな貢献を行っている寺元氏からの講演。
 農研機構の寺元郁博氏による「タイルマップの作成と利用 (Finds.jp)」
 業務での活躍以外にも、「東京○い地図」など、某Andoroidアプリでの活躍も・・・
 
 宇治市総務部税務室資産税課の青木和人氏による「地方自治体におけるGIS利用の現状とFOSS4Gへの期待」
 自治体におけるGIS活用の歴史、内容、課題を概説して、FOSS4Gの可能性を説明。自治体においては、地理空間情報の整備はかなり進んだが、ソフトウェアツールと実際の活用がこれからだという。そこにFOSS4Gツールの可能性がある。

 発表のタイトルを紹介する林さん作成のスライドで「You!QGIS使っちゃいなよ!」と突っ込まれたオートデスクの井上さん、どう切り返すかと思えば・・・
 Autodeskの井上修氏による「FOSS4Gを活用した商用3次元GIS - Autodesk Infrastructure Modeler」
 ”GISはQGISを使っていただき、CADはAutodeskをお使い下さい”と、見事にかわす。さすが、OSGeo財団副代表だけあり。冗談はさておき、Autodeskは、GeoSpatial分野では自らがOSSツールを提供している(MapGuide, FDOなど)。そしてコミュニティ主導の開発成果を自社製品に組み込んでビジネスを行っている。この発表は、かなり動作(価格も?)が格好いい3次元GIS製品のデモ。

 FOSS4G Osakaのトリはtwitterでnyalistとして有名な伊藤さんから。鳥取市内でのバス乗換サービスが、とても洗練されていて、実際に利用者も多いとのこと。氏によると「鉄壁の運用体制と実績」と誇らしい。
 鳥取大学の伊藤昌毅氏による「鳥取発!スマートフォンが拡げる公共交通乗り換え案内サービス」
 乗換サービスの説明のあとは、ジオ系つぎゃりすととして「togetter」の話、そして伊藤さんの周りのジオ系つながりの図を披露。
 ジオ系つながりの図

 FOSS4G Osakaの閉会の挨拶はOSGeo財団副代表の林さんから。
 副代表の林さん
 大阪の準備と運営、本当にお疲れ様でした。

 7時過ぎに会場を出て横浜に向かう。途中大阪駅で、見えたものは・・・
 幻想的な屋根

 来年もまた、皆さんと大阪でお会いしましょう。ありがとうございました。



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