前回に続いて、ちょっと軽い話を書きます。
スマートフォンやタブレット端末を買うとき、液晶画面
を保護する透明のシートや、本体を保護する外枠を、お買
いになりますか?
私はもともとアイパッドのユーザーですが、アンドロイ
ドのタブレット端末も使ってみたいと思っていました。
最近は、タブレット端末も、ずいぶん安くなっています。
しかし、そこへ出た台湾のASUS社が出した「ネクサ
ス7」は衝撃的でした。なにしろ、7インチのタブレット
で、カタログ価格で、なんと2万円を切るのです。
これで、ノートパソコンとほとんど遜色のない機能がつ
いているのです。
びっくりします。
これではメーカーももうからないだろうなあと思いま
す。
電機の量販店で見ると、タブレット端末は、7インチも
10インチも、ほかのメーカーの製品でも、軒並み3万円、
4万円、5万円といった値段がついています。
よく見ると、メーカーは、ASUSとかACERとか、
台湾のメーカーばかりです。
日本のメーカーは、東芝と富士通の製品がちょっとおい
てあるぐらいです。
これだけ安くなってしまうと、日本企業は、タブレット
端末を作っても、採算に合わないのでしょう。
なにしろ、日本の電機量販店の陳列棚から、日本製のI
T機器が消えるというのは、ちょっと前なら、考えられな
いことでした。
おっと、きょうは、その話ではありません。
液晶画面の保護シートの話です。
ネクサス7を買ってみました。
内臓メモリーが16GBではなく32GBのを買った
ので、少し高くて、といっても2万円ちょっとでした。
きれいな仕上がりで、液晶も鮮やかです。
さてそこで、同じ売り場に、液晶の保護シートや、本体
を保護するプラスチック製のカバーが、これまた、たくさ
ん、置いてあります。
タブレット端末は、メーカーによって形や大きさが微妙
に違うので、保護シートも、製品ごとに、ひとつひとつ違
うものが用意されています。
ネクサス7用のものも、たくさん、用意されていました。
液晶画面の保護シートだけでも、実に多様なものがあり
ます。
指紋がつかないというのは必須です。光の反射を抑える
というのも一般的です。こういうシートは、張るときに空
気の泡が入るものですが、その泡が出来にくいとうたって
いるシートもあります。
本体の保護カバーも、たくさんあります。
まず、透明なプラスチックのカバーがあります。
それに、ブックカバーのように本体をすっぽり覆い、液
晶画面のカバーがふたのように開閉するタイプのもの
もあります。
これは、どれを選ぶか、迷うでしょう。
しかし、値段を見て、ちょっと考えました。
けっこう高いのです。
液晶の保護シートは、1500円とか1900円とい
う値段がついています。
空気の泡が絶対に入りませんという保護シートは、3
000円ぐらいします。
本体を保護するカバーは、プラスチック製のもので1
200円とか1500円します。ブックカバーのように
本体を全部覆ってしまうタイプのものは、3000円と
か4000円という値段がついています。
液晶カバーと本体の保護カバーが、セットになったもの
もあって、それは、4000円ぐらいのものがあります。
この値段を見て、何を考えたか。
ネクサス7を2万円で買ったとします。
しかし、液晶のシートと本体保護カバーを、たとえば4
000円で買ったとしましょう。
冷静に考えると、本体が2万円なのに、周辺の製品が4
000円もするわけです。
本体が安いからいいようなものの、本体の機能とは直
接関係のない周辺商品に、本体の2割のおカネを払うと
いうのも、変な具合といえば変な具合です。
しかも、タブレット型端末を買うときは、少しでも安
い製品を探します。それなのに、液晶の保護シートや本
体カバーは、安いものより、どちらかというと、高いも
のを買おうとします。
どうにもおかしな話です。
では、そもそも、液晶カバーって、必要なのでしょうか?
タブレット端末は液晶を手でタッチして操作します。
端末のメーカーは、当然、それを前提にして端末を作り
ます。
ですから、液晶は、保護シートをせず、そのまま指でタ
ッチするというのが、本来の使い方ではないのか?
そう思いました。
そこで、ネクサス7を、液晶保護シートを張らずに、買
ったままの状態で、使ってみました。
当たり前ですが、画面は、快適に動きます。
画面に指でダイレクトに触るわけですが、これが、本来
の感触でしょう。
ただし、2、3日使ってみると、液晶に、指のあとがベ
タベタとつきます。
やわらかい紙で拭いてみても、このベタベタが、なかな
か取れない。
なるほど、これなら、液晶保護シートを張ったほうがい
いかもしれません。
ネクサス7は、SDカードなど、外部メモリーが使えま
せん。
そこで、もうひとつ、タブレット型端末を買ってみるこ
とにしました。
今度は日本製にします。
といっても、日本製は種類が少なくなっているので、あ
まり選択の幅はありません。ちょっと残念です。
東芝のタブレット型端末にしました。7インチの画面で
す。値段は、本来5万円台ですが、量販店の特売で、3
万5000円でした。
同じ7インチのタブレットで、ネクサス7より1万50
00円高くなっています。
特売でも1万5000円高いのですから、なるほど、こ
れなら、日本製は負けますね。
さて、東芝の7インチを、やはり、液晶保護シートを張
らずに、そのまま使ってみました。
もちろん、ネクサス7と同じように、快適に動きます。
東芝の7インチは有機ELの画面なので、画像は、ネク
サスより鮮明です。
2、3日使ってみます。
すると、液晶画面が、あまり汚れないのです。
指の汚れや、指紋が、液晶画面にあまり残らない。
きれいなものです。
メーカーに取材するまでもなく、これは、液晶画面のガ
ラスの品質の問題だと思います。
東芝の7インチの画面の表面のガラスのほうが、ネクサ
ス7の表面のガラスより、高級なんだろうと思います。
値段が違うから、当たり前といえば当たり前ですが、安
い製品は、そういうところで、コストカットをせざるを
得ないということです。
逆に、高級端末は、表面のガラスのような所にも、高品
質のガラスを使っているということです。
考えてみれば、腕時計がそうです。
腕時計を使うとき、文字盤を覆うガラスに、保護シート
を張る人はいません。そもそも、時計の文字盤のガラス
の保護シートなどというものは、売ってません。
しかし、腕時計の文字盤のガラスは、本当に汚れません。
指の汚れや指紋がつくというのは、あまり見たことがあ
りません。ちょっとした汚れは、はねのけています。
あれは、硬化ガラスというか、特別な品質のガラスなの
でしょう。
東芝の7インチの液晶画面のガラスは、それと同じよう
に、いや、腕時計のガラスほどではありませんが、汚れ
をはねのけます。
とき同じくして、アイフォンを、アイフォン4からアイ
フォン5に換えました。
4のときは、画面に、市販の画面保護シートを張ってい
ました。画面の保護というより、電話をするときに、画
面に汚れないようにという狙いでつけていました。
しかし、もしかすると、アップルだって、そんなシート
をしないで使うことを想定してアイフォンを作ってい
るのではないか。そう思って、アイフォン5は、保護シ
ートなど張らないで使うことにしました。
結果はどうかというと、たいしたもので、アイフォン5
の液晶画面は、ほとんど汚れません。腕時計のガラスぐ
らいの品質といっていいかもしれません。
ネクサス7は、たいした製品ですが、結局、値段を下げ
るには、液晶画面のガラスとか、直接の性能とは関係な
いところで、安いものを使うしかないのでしょう。
安いものは、やはり、どこかにしわ寄せがきているとい
うことです。
ネクサス7を使うなら、画面保護シートは必要かもしれ
ませんね。