いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

事前報道ルール・・・民主党は言論の自由を犯しています。民主党の存在意義はなくなってきました。

2013年03月01日 02時04分27秒 | 日記

 政府が日銀総裁の候補として、黒田東彦氏を国会に提案
しました。これに対し、民主党は「国会への提示の前に名
前が報道された」として、ごねています。
 「事前報道は拒否するルール」だそうです。

 いま「ごねています」と、あえて書きましたが、これは、
本当に「ごねている」ようなものです。
 民主党は、あれだけ国民の期待を担って政権交代した党
なのに、いまや、ほとんど末期的状況です。

 自民党は、民主党に対し、「どういう経緯で事前に名前
が出たのか、調査する」と答えています。

 新聞、テレビ、雑誌など、メディアは、民主党のこの態
度に、もっと怒らなければなりません。
 事前報道がいけないというのであれば、そもそも、報道
というものが存在しなくなります。
名前が事前に報道された人物は、日銀総裁として拒否す
るということは、すなわち、報道機関は、政府と国会が日
銀総裁を決めて発表するまで待ちなさいーーということに
なります。
報道機関に、「発表を聞いて書きなさい」と言っている
のと同じです。

 しかし、政府あるいは国会の発表を聞いて、それで原稿
を書くのであれば、ただの官報でしょう。
中国の人民日報はまさにそうです。

 そんな新聞を作って、いったい、どうするのでしょう。
 それは端的に言って「報道の自由」「言論の自由」を否
定するものです。

 しかも、事前報道が出た経緯を調べるのだという。
 それは、言論統制ですよ。

 メディアは、どうして、もっと怒らないのでしょう。

 このルールを、民主党が主張していることに、愕然とし
ます。
 というのも、民主党は、伝統的な言い方でいえば「民主
勢力」を結集した政党のはずでした。
 
 日本では、戦後、長い間、自民党が政権を握り続けてき
ました。
 自民党は、権力そのものとして、存在してきました。

 この「権力」を監視し、なにかあったら「それはおかし
い」と言い、弱い者の立場を代弁するというのが、野党の
役割だったのです。
 それを、「民主勢力」と言い習わしてきました。
 政治的には、その代表みたいにして存在したのが社会党です。

 そういう状況の中では、
 自民党=資本家あるいは企業経営者
 社会党=労働者あるいは労働組合
 という図式がありました。

 その社会党の国会議員が、自民党の反主流派とともに作
ったのが、いまの民主党です。
 ですから、労働組合の総元締めである連合は、いまも、
民主党の有力な支持団体です。

 その民主党が、
 「言論の自由」「報道の自由」
 を否定するようなルールを決めること自体が、信じられ
ないことです。

 実のところ、長い間の自民党政権では、そんな「事前報
道ルール」というものは、ありませんでした。
 自民党は、日銀総裁の候補者が事前に報道されても、何
も文句は言いませんでした。自民党は、成熟した政党だっ
たと言えるでしょう。

 ところが、弱者に味方するはずの民主党が、「事前報道
ルール」を、いまも主張しているのには、驚きあきれます。
 もともと、民主党がなぜそんなルールを主張し始めたか
というと、まだ野党時代のことですが、政権与党である自
民党に対し、なにか対抗する手段はないかと考えたあげく、
このルールを言い始めたのです。もし日銀総裁の候補が先
に報道されたら、「自民党が事前に、報道機関に漏らした
のだろう」などと、国会で追及しようというのです。
 国会で与党を追及する道具、つまりは、政争の道具を作
り出すために、「言論の自由」「報道の自由」を、犠牲にし
たのです。

 報道の自由、言論の自由というのは、民主主義の要です。
 「民主勢力」をバックに結成したはずの民主党が、みず
から、それをないがしろにしようとしているわけです。

 民主党の存在理由は、本当に、どんどんなくなってきま
した。
 このままだと、民主党は、近いうちに消滅してしまうか
もしれませ
んね。