いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

変な日本語・・・「真逆」とは、いったい、なんというセンスの悪い言葉でしょう。

2013年03月04日 01時07分31秒 | 日記

 週末なので、軽い話題をひとつ。
 変な日本語の話です。

 最近、「真逆」(まぎゃく)という言葉が、よく使われるようにな
りました。
 
 先日は、テレビのアナウンサーが、「これは、真逆な印象です
ね」と話すのを耳にしました。
 また、東洋経済オンラインは、都内の有名進学校の校長にインタ
ビューした記事を載せ、その見出しに「ゆとりとは真逆」という見
出しをつけていました。
私は、時々、都内の大学で講義をします。学生諸君にちょっとし
たレポートを書いてもらうと、真逆という言葉が、普通に出てくる
のです。「私は真逆に考えた」という感じです。

 どこがおかしいかというと、まずなによりも、真逆「まぎゃく」
という語感が悪いのです。
 まぎゃくと、口に出してみるとすぐ分かりますが、いかにも、語
感が汚い。

 これは、最近できた造語でしょう。
 ちょっと調べてみると、2004年に流行語大賞の候補になった
ようです。

 新鮮な編集で知られる三省堂の新明解国語辞典をひいても、この
言葉は載っていません。

 真逆とはなにかというと、正反対ということでしょう。
 それなら、「正反対」でいいでしょう。

 真という字は、真正面とか、真芯とか、あるいは真人間とか、プ
ラスイメージの字です。
 ところが、真逆は、まったくの逆、という意味ですから、180
度の反対側ということになります。「真」の持つ突き進むというイ
メージを、さかさまに、ネガティブに使っているのです。
 それも、真逆という言葉が違和感を与える原因のひとつでしょう。

 もうひとつ、名詞の造語なら、まだ分かります。科学の発展によ
って、新技術が登場し、それに伴って新しい名詞が出来るというの
は、よくあることです。その場合は、造語になるちゃんとした理由
があります。深い地下を「大深度」などと言いますが、これなどは、
地下の掘削技術が進歩して登場した造語かもしれません。

 しかし、真逆は、副詞、形容詞、あるいは名詞、そのどれでしょ
う。
 こんな得体の知れない言葉は、気持ちが悪いでしょう。

 「おはよう」という朝のあいさつを、テレビ局が、「オッハー」
と言い換えて広めようとしたことがあります。
 これも、語感が悪すぎます。
 言葉のセンスが悪すぎるとしかいいようがありません。
真逆にも、それと同じ、センスの悪さを感じます。

 真逆といい、オッハーといい、こんな得体の知れない言葉がはや
らないよう、祈りたいですね。