ロンドン五輪が始まり、連日、深夜までのテレビ観戦と
なっています。
今回の五輪、日本は苦戦しています。
懸命にやっている選手に、なにをいうこともありません
が、ちょっと気がついたことを書いておきます。
柔道で、金メダル確実といわれた女子の福見選手と中村
選手には、試合前、共通したしぐさがありました。男子
で銅となった海老沼選手も、おなじしぐさをしました。
それを見て、これはまずいんじゃないかと、非常に気に
なったのです。
それはなにかというと、両方の手を口の前で丸く合わせ、
ふーっと息を吹き込むしぐさです。
冬の寒い朝、かじかんだ手を口の前で合わせ、ふーっと
息を吹きかけて温める、あのしぐさです。
3人とも、このしぐさをしていたのです。
3人の普段のしぐさを知っているわけではないのです
が、このしぐさ、どこか、非常に弱弱しい感じがしました。
かじかんだ手に息を吹きかけるしぐさは、かわいいしぐ
さではありますが、これから戦いに臨もうという動作では
ありませんでした。
戦いに臨もうという雰囲気がありませんでした。
一方、3人が負けた相手は、試合前、見るからに猛々し
い雰囲気を漂わせていました。
とくに福見選手は、ずっと、このしぐさをしていました。
自分の息を自分の手に吹き込むというのは、内にこもる
というイメージでした。
息を内側に吐くわけですから、闘志を外に出すという感
じにはなりません。
3人の相手は、みな、そろって、闘志をむき出しにした
雰囲気がありました。
この対比を見ていて、これは、ちょっと苦しいのではな
いかと心配になりました。
残念ながら、心配が当たってしまいました。
3日目に、女子の松本選手がようやく金メダルを取りま
した。
目つきといい、体の雰囲気といい、まったく猛獣のよう
な感じでした。
両手を口のまえで丸めて、そこに息を吹きかけるという
しぐさは、まったくしていませんでした。
考えてみれば、猛獣は、相手に飛びかかろうというとき
に、自分の手に息を吹きかけたりはしないでしょう。
誤解されると困りますが、そういうしぐさをしていた選
手を責めるとか、そんなつもりは、まったくありません。
きっと、3人の選手は、緊張していたんだと思います。
緊張が、そういうしぐさをさせてしまったのでしょう。
本当に残念でした。
また4年後を目指そうなどとは、とても言えません。4
年間というのは、長い長い時間です。
また4年間、トレーニングをするのかと思うと、気が遠
くなりそうです。
傷ついた野生動物は、傷がいえるまで、静かに眠ります。
残念ながら敗れた選手たちも、いまは、静かに傷をいや
してください。
今後どうするかは、それから考えればいいのです。
いまは、傷をいやすことです。
本当にごくろうさまでした。