いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

野田首相の発言にはがっかりします・・・「それは米政府の方針だから」と。

2012年07月17日 14時43分34秒 | 日記

      前回の関連です。

      *******

 野田首相が、がっかりするような発言をしました。
 17日の朝刊各紙によると、野田首相は16日のフジテ
レビのニュース番組に出演し、米軍が沖縄に配備しようと
しているオスプレイについて、次のように語りました。

 「(オスプレイの)配備は米政府の方針であり、同盟関
係にあるとはいえ、(日本から)どうしろこうしろという
話では、基本的には、ない」。

 これはもう、野田首相はどこか大事なところで、ひどい
勘違いをしているーーとしか言いようがありません。

 相手国の政府が決めた方針であれば、日本政府から何も
言わないーーというような発言を、首相がしてはいけない
でしょう。

 相手国の政府が決めた方針ならそのまま受け入れると
いうのであれば、そもそも、外交というものが成立しませ
ん。

 首相の言い方なら、たとえば、ロシア政府が「北方領土
はロシア固有の領土だから、今後、日本政府とはもう何も
話をしない方針を決めた」ーーと伝えてきたら、
 野田首相は、
「ロシア政府の方針なのだから、日本としてはどうしろ
こうしろと言う話ではない」
 と答えるのでしょうか。

中国が「尖閣列島は中国の領土だから、中国政府として、
尖閣に駐在員を置く方針を決めた」と発表したら、
 野田首相は、
 「中国政府の方針なんだから、日本として、どうしろこ
うしろと言う話ではない」
 と答えるのでしょうか。

 相手国の方針だから、日本として何も言わないというの
なら、外交になりません。

 相手国の政府が決めた方針であっても、それが日本とし
て受け入れることが出来ないものであれば、日本政府とし
てそれに意見を言い、受け入れないという考えを伝えなけ
ればなりません。

 野田首相が、オスプレイの配備をめぐって、
 「それは米政府の方針だから、日本として何かをいう話
ではない」 
 と答えたのは、もし本気でそう言ったのなら、野田首相は、
どこか大事なところで勘違いをしているということです。

 しかし、いくらなんでも、本気で勘違いしているわけ
ではないでしょう。
 こんなことを勘違いしているとすれば、野田首相には
首相たる資格がありません。

 むしろ、野田首相としては、
 「日本政府としてオスプレイの配備を認める」
 と言いたいのだと思います。

 それなら、はっきりと
 「私は、首相として、オスプレイの配備を受け入れます」
 と答えればいいものを、
 どこか、後ろめたい気分、エクスキューズもあるのでし
ょう、はっきりとそういわず、
 「アメリカの方針だから日本としては何かをいう話では
ない」
と、一般論に逃げてしまったのです。

 もし民主党が野党なら、野党の党首たる野田さんは、
 「オスプレイの配備はアメリカ政府の方針だから、日本
として何かを言う話ではありません」
 などとは、口が裂けても、言わないでしょう。
 むしろ、自民党の首相が
 「オスプレイの配備はアメリカの方針だから、日本と
しては、何をいうこともない」
 と言い、野党・民主党の野田党首が、それを、痛烈に
批判するーーという構図になっていたのではないで
しょうか。

 権力は人を変えます。
 しかし、立場が変われば、これだけ変わるものかと
驚きます。
 民主党は、本当にだめになりました。