いまジャーナリストとして

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民主党の分裂・・・民主党は増税しないと言って政権交代しました。野田首相の罪は重いでしょう。

2012年07月03日 21時57分35秒 | 日記

小沢一郎氏が、結局、民主党を離党しました。
 これから新党を作ることになります。
 私は、個人的な感想としては、小沢一郎氏という政治家
を好きではありません。
 しかし、今回は、ちょっと小沢一郎氏を擁護してみたい
と思います。


 小沢氏は、これまで何度も新党を作ってきましたが、い
ずれも権力闘争というイメージが強かったのです。
 しかし、今回は、離党する理由がはっきりしています。
 そこを評価したいのです。

 民主党の野田首相は、消費税増税に
「政治生命をかける」
と断言し、自民、公明と協力して、消費税増税法案を衆議
院で可決・成立させました。
 
 しかし3年前、09年夏の総選挙で、
野田首相は、民主党のマニフェストを前提にして、
「絶対に消費税は増税しない」
「増税より先にやることがあります」
と訴えました。

そうやって演説している様子は、いまでも YOUTUBEで
見ることが出来ます。


 小沢氏は
 「民主党は増税しないといって政権についたのだから、
消費税増税は、国民との約束違反だ」
 と主張して、野田首相および民主党執行部と対立しました。

 そして、その対立は解けず、小沢氏は、
 「いまの民主党は、政権交代したときの民主党ではない」
と言って、民主党を離党したわけです。

 ですから、離党する理由は、非常にはっきりしています。
 素直に考えると、今回は、小沢氏の言い分のほうが、筋
が通っています。

 自民党の山本一太議員だったか、小泉進次郎議員だった
か、民主党のこの騒動について、
 「民主党は、マニフェストを破った国会議員が、マニフ
ェストを守ろうとした国会議員を処分している」 
 と指摘しました。

 その通りです。

 この指摘が、今回の民主党の分裂を、うまく言い当てて
います。

 日本の財政が大赤字なことは、だれもが分かっています。
 このまま放っておくと、危ない。
 ギリシャの破綻は、対岸の火事ではない。
 なんとかしなければならない。
 それには、増税も必要になってくるだろう。

 そんなことは、だれも、分かっているのです。
 日本人は賢明な国民ですから、そんなことは、よく分か
っている。必要とあれば、増税だって、了解するでしょう。
 
 しかし、いま政権にある民主党は、
 「民主党が政権を運営する4年間は、消費税を増税しま
せん」
 と言って、自民党を破り、政権交代を実現させたのです。

 それを、いまになって、
 「消費税増税に政治生命をかける」
 というのは、どう見ても、おかしい。

 おかしいことはおかしいと言わなければなりません。

 もし09年8月の総選挙で、民主党が、マニフェストで
 「財政再建のために、消費税を増税します」
 とうたっていたら、政権交代は実現していたでしょうか。

 これは、はっきりと、約束違反です。

 野田首相は、完全に心変わりをし、政策を180度変えました。

 もし、野田首相が、首相になってみて、
 ・ 日本はいま増税をする必要がある。
 ・ 増税は、いま、しなければならない。
 ・ いまを逃しては、日本は危ない。
 ・ 増税は、政権交代を実現させたマニフェストを破っ
   てでも、しなければならない。
 ーーと考えたのであれば、
 まずなによりも、民主党に投票した有権者、国民に対し、
マニフェストを破ることを、おわびし、謝罪しなければな
らないでしょう。
 
 そして、そのうえで、
 ・ どうしてそう考えるようになったのか。
 ・ どうしていま増税が必要なのか。
 ・ 大震災からの復興や原発への対応より、消費税増税
   を優先する必要があるのか。
 ・ 増税は、それほどまでに緊急に必要なのか。
 ーーということを、有権者、国民が納得するまで、きち
んと説明しなければならないでしょう。

 それは、「増税しません」と訴えて政権交代させた民主
党の責任であるはずです。
 
 ところが、野田首相は、マニフェストを破ったことを、
国民に対しおわびもしていません。

 大震災の復興や原発への対応ではなく、どうして
 「消費税増税に政治生命をかける」
 のか、ちゃんとした説明もしていません。

 なぜいま、このときに、消費税増税が必要なのか、説明
していません。

 増税はしないといっていたのに、どうして増税しなけれ
ばならないと考えを変えたのか、その説明もありません。

 増税は、どうしてそれほどまでに緊急の課題だと思うの
か、少しも説明していません。

 そうなのです。
 野田首相は、増税しないといっていたのを、突然、増税
に政治生命を賭けるとまでいうようになった、その変化を、
まったくなにも説明していないのです。

心を込めて、丁寧に、しっかりと説明すれば、国民も
納得するでしょう。
 しかし、いまのような、木でハナをくくったような説明
では、国民は、納得できないでしょう。
 
 むしろ、これから先、もっと根本的な税制改革が必要に
なったとき、今回のことで不信感を持った国民が、NOと
言い続ける可能性だってあります。

 せっかく歴史的な政権交代を実現したというのに、野田
首相は、それに背を向け、決定的な政治不信をもたらして
しまいました。
 
 今回は、小沢一郎氏に、理があります。
 国民に政治不信をもたらした野田首相の罪は重いと言わ
ざるをえません。