いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

今年の旧暦には閏月があります・・・私たちの生活は旧暦に基づく行事が少なくありません。

2012年07月09日 15時46分14秒 | 日記

この原稿は、2012年7月に書いたものです。 
 2012年に旧暦の閏月があったことを説明したもので
すが、その後、2014年にも、同じように、旧暦の
閏月が発生しています。
 2014年11月5日付けの原稿でも、2014年の
閏月を説明していますので、そちらも、あわせて、お読み
いただければと思います。

       *****

 七夕は、新暦(太陽暦)の7月7日にするから、梅雨の
最中になって、雨のことが多いという記事には、反響をい
ただきました。
 私自身は、別に、暦に詳しいわけでもなんでもないので、
あまり書くとボロが出かねませんが、少し、書き忘れたこ
とを付け加えておきます。

 まず、今年の旧暦は、3月が2回ありましたーーという
ことからです。
 旧暦の3月は、弥生(やよい)と呼びます。
 
 今年は弥生が2回あり、2度目の弥生は、閏弥生(うる
うやよい)と呼びます。

 閏というのは、閏年(うるうどし)の閏です。
 太陽暦では、4年に1度、2月29日を設定します。
これは、太陽の運行とカレンダーのずれを調整するた
めのものです。

旧暦(太陰暦)は、このずれがもっと大きいので、日で
はなく、3年に一度、ひと月分をまるまる、余分に設定
するのです。
これを、閏月(うるうづき)と言います。

2012年が、その年に当たり、3月を2回やったので
す。
具体的には、新暦の4月21日の土曜日が、旧暦の閏弥
生の1日でした。

前回の記事で、今年は、旧暦の7月7日が新暦の8月2
4日ですと書きましたが、閏弥生があるから、そこまでず
れているわけです。閏月がなければ、旧暦の7月7日は、
8月24日ではなく、もう少し前になっていました。
ただし、閏月が3年に1度もあるので、「閏月がなけれ
ば」という仮定は、あまり意味がありません。

これ以上書くと、いよいよボロが出そうですが、旧暦で
は、新月つまり月がまったく見えない日を、毎月の始まり
とします。この初日を、「朔」と呼びます。
 月の満ち欠けは、29日半(29・5日)をひとつの
周期とします。それが、1年12か月あると、日数は
 29・5日かける12か月=354日
 となります。
 一方、太陽暦は365日です。これは、地球が365
日かけて太陽を一周するということです。
 365日マイナス354日=11日
 です。
 すると、月のカレンダーを使って生活していると、実
際の太陽の運行と、3年で33日のズレが生じます。
 これは、田植えの時期とか、夏の始まりとか、お正月
とか、生活するうえで、大きな問題になります。
 そこで、閏月を3年に1度作って、月のカレンダーを
生活に合うよう調整するわけです。

いまでも、日本の伝統行事やしきたりは、旧暦でするも
のが少なくありません。

たとえば、お盆です。
試しに、壁にかかっているカレンダーを見ると、
7月15日のところに「盆」「中元」と書いてあります。
 それでは、8月15日を見てみましょう。「月遅れ盆」
と書いてあります。

 私は関西(神戸市)の出身です。
 関西は、こうした行事は、だいたい、旧暦でやる習慣が
いまでも残っています。
 典型的なのが、お世話になった方に贈り物をする「お中
元」です。
 関西のお中元は、7月中旬ごろから始まり、8月15日
のお盆で終わります。小売店やデパートのお中元セールも、
まさに、この時期にやります。
 ところが、大学で東京に来て、東京に住むようになって、
東京のお中元が6月に始まり、7月の中旬で終割るのを見
て、びっくりしました。

 これは、デパートでもそうです。
 同じ高島屋、同じ大丸でも、首都圏の店は6月から7月
までお中元セールをし、京阪神のお店は7月から8月まで
お中元セールをします。
 東京、大阪にまたがれば、お中元は、6月から8月まで
延々とやっていることになります。
 東京と大阪は、新幹線でわずか2時間半という距離にな
ったのに、いまでも、伝統行事は、それぞれの地域に根付
いた方法でやるんですね。

 ところが、その東京も、というより、日本全国が、とい
うべきですが、お盆のお休みは、8月15日の月遅れ盆で
やります。月遅れ盆というより、「旧盆」といったほうが
いいですね。
 どこの会社も、8月の15日、16日の2日が休日とな
ります。
 そして、日本人の「民族大移動」と呼ばれるほど、私た
ちは、この旧盆に故郷に帰り、墓参りをします。
 
 私たちは新暦で暮らしているのですから、お中元を7月
のお盆に合わせてるするのなら、盆の墓参りも7月のお盆
でやればいいようなものです。
 しかし、故郷への里帰り、先祖への墓参りは、だれが決
めたわけでもないのに、旧盆にします。

 それは、とりもなおさず、実は、私たちの生活のかなりの
部分がいまも旧暦に根差しているからーーということになる
のではないでしょうか。