*** 原発事故の特異性
解決法が専門家以外には分からない ***
福島原発は、一進一退の状況となっています。
この事故で、もどかしいのは、解決方法が専門家以外
には分からないことです。
解決方法どころか、一般市民には議論をすることさえ
難しい。
原発の事故を解決するには、専門的な知識が求められ
るからです。
子ども手当てを議論するには、必ずしも、専門的な知
識はいらない。子ども手当てが必要かどうか、それぞれ
の立場で意見を述べることは、だれにでも可能です。
高速道路の料金を無料にするのがいいのかどうか。そ
れも、別段、専門的な知識はいりません。高速道路を使
う人、使わない人、トラックの運転手さん、サンデード
ライバー、それぞれが、それぞれの立場で考えを言うこ
とができます。
政治、経済の話は、必ずしもプロでなくても、議論に
参加できるのです。
常識を踏まえ、良識に従い、自分の思うところをいえば
いい。
それが、民主主義の根幹ともなるのです。
ところが、事故を起こした原発をどうすれば安全にコ
ントロールすることができるのか。
もっと具体的には、
燃料棒が露出したら、どうすればいいのか。
燃料棒が損傷したらどうすればいいのか。
燃料棒の格納容器が破損したらどうすればいいのか。
そもそも、シーベルトって、何でしょう?
いずれも、事故に対処するために、ものすごく重要
なことばかりです。
しかし、そのどれひとつとして、専門知識を持って
いないと、答えようがないのです。
普通の市民には、どうにも答えようがありません。
子ども手当てや高速道路の無料化については、普通の
市民が、いくらでも議論できる。自分の意見を言うこ
とができるのです。
しかし、燃料棒が損傷してしまいました、どうすれば
いいか、みなさん、「意見を述べてください」と言
われても、普通の市民は困ってしまいます。
タービン建屋に放射線で汚染された水がたまって、そ
えをどうすればいいか、意見を求められても、普通の
市民はなんと答えていいものやら、答えようがないのです。
*** 学者、科学者の顔が見えない ***
そこが、原発事故の特異性です。
原発の事故は、専門家をおいて、解決方法を見いだせ
ないのです。
専門家以外には、どう対応すればいいのか、分からな
い。
専門家とは、もちろん、東電であり、日立であり、東
芝であるでしょう。
保安院、原子力安全委員会は、いうまでもありません。
しかし、もっといえば、原子力の学者、科学者です。
日本原子力学会です。
今回、その学者、科学者の顔が見えません。
テレビ?
そう。テレビには、東大、東工大をはじめ、多くの大
学の教授たちが、解説に出ています。
しかし、その学者のみなさんに問いたい。
テレビで解説していてもしようがないでしょう。
原子力の専門家として、なぜ、解決方法を提示できし
ようとしないのでしょう。
学者、科学者、日本原子力学会には、原子力に携わる
者としての良心を見せてもらいたい。
テレビには出なくていいから、解決方法を考えて、提
示してもらいたい。
それが、プロフェッショナルとしての使命でしょう。
止