いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

前原外相は結局辞任しました・・・もういい加減にしてほしい。政治は「政局」ではなく「政策」を。

2011年03月06日 23時40分20秒 | 日記

  3月4日の金曜日のブログで取り上げた前原外相は、
結局、辞任することを決め、3月6日の日曜夜、記者会
見をして発表しました。

  なんということでしょう。
  なんで、こんなことで辞めなければならないのでし
ょう。 
  なんで、こんな小さなことが問題になるのでしょう。
  問題にする自民党もばかですし、辞めさせる民主党
もばかです。
  民主党も自民党も、公明党も共産党も、この国の政
治家たちは、いったい、何をしているのでしょう。
  だれか、まともな政治家はいないのでしょうか。

  4日のブログでも書きましたが、前原外相に献金し
た外国人というのは、京都で飲食店を営む在日韓国人で
す。なるほど、国籍は韓国でしょう。しかし、在日韓国
人は、日本に生まれ日本で育ち、日本語を話し、日本の
生活に溶け込んでいます。
  アメリカやヨーロッパ、あるいは中東に住み、日本

語はしゃべったことがないというような外国人とはわけ
が違うのです。
  前原外相に献金をしていた在日の女性も、これまで
ずっと前原外相を応援してきた。しかも、前原外相の家
庭とは子供のころからのつきあいだと話しています。
  献金は毎年5万円を4年間、合計20万円です。
  ほほえましいじゃありませんか。
  子供のころから知っていた前原氏が、代議士になり、
民主党の幹部になり、政権交代も実現し、大臣にまでな
った。ああうれしい、少しでも献金しようと思って、ど
こが悪いのでしょう。
   
  このことを国会で取り上げ、「前原氏には大臣の資格
もないし、議員の資格もない」と鬼の首を取ったように
大騒ぎしたのは、自民党の西田昌司氏です。
  
  なるほど、国会議員が外国人から献金を受けるのは
法律違反であるかもしれない。
  しかし、前原外相の法律違反は、ほとんど形式的な
違反であり、単純なミスといってもいいものです。
  そんなことを国会で取り上げ、外相を辞任に追い込
んで、いったいなんだというのでしょう。
  6日には、京都で自民党の集会があり、そこで、自
民党の谷垣総裁は、西田氏のことに触れ、
  「見事な質問だった」
  と激賞しました。
  会場では、大きな拍手が起きたそうです。

  なんだか、がっかりして、力が抜けます。
  なにが「見事な質問」ですか。
  
  これによって、国会は紛糾し、日本の外相がまた辞
任し、政府も国会も、しばらくは、機能しなくなるでし
ょう。

  そんな形式的な、単純なミスとでもいえそうなこと
をあげつらう余裕は、いまの日本にはありません。
  政治がなすべきことは、ほかにたくさんあります。

  政治には、「政局」と「政策」があります。
  「政局」は、政党間の争い、政党内部の人事抗争な
どを指します。一般に、「政治はどうしようもない」とい
うような言い方をするときは、この「政局」です。
「政策」は、日本経済をどう立て直すか、貿易の自
由化をどう進めるか、中国やロシアとの外交をどう
するのかーーなど、日本の針路を決める文字通りの
「政策」です。
 
 いまの日本で、政治が本当にやらなければならな
いのは、「政策」です。
 
 しかし、実際には、民主党も自民党も、「政局」ば
かりやっている。国会が「政局」の場になっている。
 政局をやればやるほど、政策はおろそかになって
しまうのです。いまや、政策は忘れ去られています。

   そういう状況にあって、西田氏が持ち出した在日
外国人による20万円の献金という問題は、政局にもな
らないような、小さな話、小さなミスです。
   そんなものを、大げさにがなりたてて、外相の首
を取って、なにがうれしいのでしょう。

   これでまた、日本の政府も国会も、一段と機能を
低下させてしまいます。
   日本がどんどん苦しくなります。
   
   それを、谷垣さん、あなたは「見事な質問だった」
というわけですか。

   しかし、これは、自民党だけの問題ではありませ
ん。自民党政権の時代、とくに、その最後の数年間、民
主党は、西田氏のようなことをたくさんやってきたので
す。
   麻生首相が漢字が読めないというので、国会の
質問で、民主党議員は、漢字の熟語のボードを持ち込み、
麻生首相に「この読み方と意味はわかりますか?」と聞
きました。一国の首相を、そうやって、嘲笑したのは、
民主党の議員です。
   福田首相、安倍首相も、同じように、民主党議員
が揚げ足を取り、退陣に追い込みました。
   松岡農水相の事務所費に不明な金額があることを
取り上げ、民主党は、執拗に追及しました。その挙句、
松岡氏は、なんということか、自殺してしまったのです。
   柳沢厚労相の「女性を子供を産む機械として計算
すると」という発言を、何度も何度も国会で追及し、国
会を機能不全に追い込んだのも、民主党です。柳沢氏が
どう説明し、あやまっても、民主党は、許さなかった。

   いま、自民党は、それと同じことをやっています。
   もし、これで衆院が解散され、総選挙になったと
すれば、間違いなく自民党が勝つでしょう。
   そうやって、自民党が政権を取ったら、今度はま
た野党に戻った民主党が、仕返しとばかり、自民党の閣
僚の小さな問題を発掘し、国会で質問して、閣僚を辞任
に追い込むでしょう。
   目に見えるようです。
   人間、だれだって、ひとつやふたつ、すねに傷を
抱えています。
   質問した自民党議員にだって、思い当たることが
あるでしょう。
   それを攻撃しあうのは、簡単です。
   しかし、それは、報復合戦です。
   行きつくのは、血で血を洗う報復合戦です。
   それは、武器を持たないだけで、実態は、ほとん
どテロ合戦となってしまいます。
   
   もう、正視に耐えません。

   前原外相に、在日韓国人が献金していたことが分
かった。しかし、いま、国会で、そんなことを攻め立て
る状況ではない。
   自民党の総裁、幹事長、ベテラン議員が「いまは、
そんなことをやっている場合ではない。そんな質問で国
会を紛糾させるのは、やめよう」と、どうしていえない
のでしょう。
   政治には、そうした節度と成熟を求めたい。

   民主党も、自民党も、もういい加減にしてくれ。
   そんなことをやっている間に、日本は、どんどん
窮地に追い込まれていく。
   あなたたちは、どうして、そんなことが分からな
いのだろう。