気温の低い冬に
ガレージで凍りついてしまうと困る物を家の中にしまう為、
クロゼットの片付けをしていたら
昔、ショッピングチャンネル”QVC”で買ったからくり時計が出てきた。
部屋数が少ないこの家で掛ける場所がなく
仕舞い込んだままにしていたんだった。
子供の頃 一人で過ごす事が多かった私は
家にある時計一つ一つを開き、
噛み合う歯車に触れてはそれを遊びにしていた事があった。
何故そんな事を覚えているかと言うと
父が精神分裂病と診断された事と時計が関係しているからだ。
父が大学2年だった年だから 昭和15−6年頃の事
同じ下宿先に住む学生が自分の腕時計を盗んだと思いこみ
大喧嘩になったことが始まりで医師の診断を受け
精神分裂病と診断された。
その話を聞いた時、
自分の記憶の中にあった時計遊びの思い出と父がどこかで結びつき
時計に関する記憶が濃くなって記憶に残ってしまった。
歯車遊びをしていた時の自分の気持ちまで
もっと深く思い出す事が出来たら
その頃の自分の父への想いが分かるのかも知れない。
ショッピングチャンネルQVCで見た壁時計は
1時間毎に音楽が流れ、
それに合わせ時計が開き歯車が見えるようになっていた。
歯車遊びをしていた子供の頃の自分が思い出され
その側に父の姿がふーっと浮かびもして
私は躊躇うこともなく電話でその時計を注文したのだ。
仕舞った事を忘れていた壁時計を手にした私が
既に2つの時計がかかったリビングを前にして
(壁にかけているのは娘2が使わなくなった時計)
”そうだわ。 リビングの一つの壁を
時計コレクションで飾るのはどう? ” と
バッキーに提案すると
”この壁が塞がるほどの時計は持ってないじゃないか
塞ぐためにもっと時計を買うのか?” と
バッキーが呆れたように言う。
今日は家の周りの林からフクロウがなく声がした。