アイルランド系アメリカ人家族が経営する会社に
バッキー(夫)が転職した90年代
”アイリッシュはケチだぞ。”
と
義父が言った事だったけど
それからの25年間に
義父が言ったその言葉を
何度も思い出される出来事が多くあった。
ブッチャー(Butcher)から
この会社を初めた会長(父)と
ウエイトレスをしながら
家計を助けた会長婦人(母)の元で育った子どもたちが
今
この会社を経営しているけど
そんな両親の苦労を見て育った事もあってか
特に
上の兄弟姉妹はお金に関して細かい。
”あいつらは人に分け与えることを知らない”
”あいつらは自分たちの得しか考えていない”
などなど
バッキーから何度も聞かされてきている私は
彼らやそしてこの会社を初められた会長にも
ケチ野郎
と言うレッテルを張っていた。
ジェイク君が今持っているキャンピングカーは
数年前
その会長がジェイク君の理髪店で
髪をカットしてもらっている時に
売買の話が決まり
会長から買いとったキャンピングカーだ。
私には
中古のキャンピングカーの値打ちが分からないけど
ジェイク君に言わせると
お買い得の値だったらしい。
ローンが嫌いなジェイク君は
何でも現金で買う
買うお金がなければ
買わない人。
ケチな会長が
安価な値段でキャンピングカーを売ったのは
現金ですぐに支払ってもらえるからだろう
と
私はそう解釈していたのだけど
それだけではない
と
思い始めた。
去年の夏
会長がコロナに感染し
入院後10日で亡くなられた後
会長の子どもたちが
そのキャンピングカーが安価で売られたことを知り
”父さんは何故そんな安い値で売ったんだ。
私が買ったのに、、”
と
未だに話されている事を聞いて
ハッとした。
若くして事業を初められた会長は
同じように
20代で理髪店を持ち
経営しているジェイク君を
応援する気持ちが大きく
キャンピングカーを安く売られたんではないだろうか
そう思うと
ケチ会長もまんざらではない。
”会長は貴方を応援している。”
この夏の終わりに理髪店も閉め
キャンピングカーで旅に出るジェイク君に
そう伝えた。
ぽちっとね