「CHANGE」

2008年05月14日 | 政治
木村拓哉主演の「CHANGE」が始まった。
ストーリーは、小学校教師・朝倉啓太(木村拓哉)が父親である福岡選出の国会議員の事故死を受けて、後継候補として補欠選挙に出馬し、総理に上り詰めるという設定らしい。
(http://wwwz.fujitv.co.jp/change/index2.html)

調査によると、初回平均視聴率は23.8%と好発進だそうだ。
放映当日は時間がなく観られなかったので、録画した番組を深夜に観た。
政治・選挙に携わる人間として、突っ込みたい所もいくつかあったが、さすがにキムタク作品とあって、面白い。
今後、このドラマがどの様に展開していくのかに注目したい。

ちなみに、このドラマをきっかけに、多くの人(特に政治に関心の薄いといわれる若者に)に政治に関心を持っていただけるとありがたいです。

ところで、実際の政治の現場に話を戻すと、
昨日、今国会3度目となる「3分の2」再可決が使われた。

マスコミの取材等でも答えていますが、私は「3分の2」再可決は憲法で規定されたものなので使う事に関しては、場合によっては仕方のない時もあると思います。

しかしながら、「3分の2」再可決は、いわゆる「伝家の宝刀」であり、再可決を乱発する政治手法には違和感を覚えます。(そういう意味では、解散権や内閣不信任案、問責決議案も同じ。)

昨年夏の参議院選挙により、いわゆる「ねじれ国会」という状況が生まれた。
政府・与党は、二院制の一院である衆議院でしか、多数を占めていない。
もう一院の参議院は、野党が多数を占めている。

このような状況下で、衆院・参院の意見や議決が異なる事は想定されるわけである。
じゃあ、意見が異なる可能性がある場合は、どうするのか?

衆院で決めた事に優越があるので、参院の意見は無視して、「3分の2」を行使する。
それでは、参院の意思はどうなるのか?二院制の否定にもつながる。

ハナから参院の呑めない法案を出すようなら、参院は「参院の意思」として反対する。

政権担当能力のある政府・与党の役目としては、この「ねじれ現象」下では、参院の呑めるような法案を出す役目があるのではないだろうか。

その上で、参院が呑めるよう努力した法案なのに、参院が反対したのなら、「3分の2」再可決の「伝家の宝刀」を抜く事は仕方のない事である。

じゃあ、今までの「3分の2」再可決を行った、三つの法案はどうだったのだろうか?
昨日の道路特定財源を10年間維持するという特例法改正案も、閣議決定と矛盾する法律を国権の最高機関である国会が認めるというものだ。矛盾だらけである。

今後も政府・与党は「3分の2」という刀を振り回すのだろうか?
福田内閣が閣議決定した一般財源化の使い道にしても、基礎年金の国庫負担の割合の問題にしても、そして来年1月で期限切れを迎えるテロ特措法の延長にしても、「伝家の宝刀」を振りかざしていくのであろうか?

その「伝家の宝刀」で斬っているのは、国権の最高機関の一翼を担っている参議院であり、民主主義、そして国民であるようにしか思えない。

木村拓哉演じる朝倉総理なら、相手が思うようにならないからといって、「伝家の宝刀」を簡単に抜くのだろうか?

(写真は田中まきこ議員と会合した際に撮影したものです。)