今日のチャレンジToe by Toeスカイプ授業は非常に面白かった。
ここしばらくやっていたステージ(silent e)の書き取りをさせたのだけど、
Yくん、Sくんそれぞれ、何が苦手かがはっきりした感じ。
このステージは4回以上続けている。
ルールは理解していて、基本的に「読めて」いるはずだったので
「読めるものをどれくらい書き取れるか」を試しにやってみた。
「サイレントeのテストだからね。最後はeで終わるからね」
とまで言ってあるので
彼らは子音と母音を正しく聞き取り、ルールを適用するだけ(のはずだった)。
結果、私の予想とは逆に、読めていると思った子が書けず、
読めていない子がきちんと書けた・・・という成績になったので驚いた。
まず、こちらがYくん、Sくんのサイレントe練習ページの
読みの誤答数(注:正答数じゃありません)はこんな感じ。
page |
Y誤答数 |
S誤答数 |
67(48問) |
1回目4 2回目0 |
1回目8 2回目11 |
75 (30問) |
1回目0 |
1回目7 |
Yくんは、 67ページでは48問中1問しか読み間違えず、
二度目にトライしたときは、全問正解。
また、75ページでも、初見で一度も読み間違えないため、
ルールが定着している様子がわかった。
Sくんは、67ページは一回目初見で8問間違い、
二回目は誤答数がさらに増えて11問読み間違えた。
その後も練習を続けているが、75ページでも一回目7問間違いで、
誤答数からは読みが進歩しているようには見えなかった。
そこで、サイレントeの練習ページ(既に読んだことがあるページ)から、
以下の語を読み上げ、書き取らせたのが今回の書き取りテスト。
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ride dope tile cave ripe
hate pines domes wine
tune lime pile sale same rule
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計15問
正答数: Sくん=7, Yくん=12
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Yくんは、読めばまったく問題がない語も書き間違え、
Sくんは、読み間違っていた語も、
書き取りではほとんど間違いがなかった。
という結果になった。
以下気づきのメモ。
Yくんは文字を音声化する対応は非常によく、ほとんど読み間違えない。
しかし、音を正しく聞き取る力が弱いため、スペルアウトが苦手。
特に聞く時は日本人の多くが間違えるl/rの混同や、日本語にない子音の認識が弱い。
Yくんは、「聞く力が弱いためスペリングが弱いけれど、読める」タイプだろうと言える。
音韻認識が定着していないけれど、ルールとして理解したことを応用し、
文字を音声に変換して”読む”ことは上手なのだと思われる。
文字→音=◎
音→文字=△
Sくんはよく音を聞き分け、書く際にも、音を文字化する操作には問題がない。
なのでスペリングテストは音が取れていれば問題なし。
ただし、読む際には、文字を音声化する力が弱いため、読み間違いが非常に多くなる。
また読む回数を増やしたからといって、読み間違いが減る訳ではない。
特に、似た文字の言い間違え、ない音を足すといった、
英語圏のディスレクシアと同じ間違いが多い。
この子が「聞き取れて、書けるのに、読めない」タイプと言っていいのだろう。
文字→音=△
音→文字=◎
この背後にはさまざまな彼の認知的条件が隠れていると思われる。
こういうことは、
ただ読ませてるだけ、
書かせてるだけ、では気づかなかっただろうな。
実際、Toe by Toeは読み練習がほとんどなので、
「Yくんはルールも早く覚えるし、ちゃんと読めてるけど、
Sくんはなかなかルールが定着しないし、読めてないなあ」
とずっと思っていた。
だけれどもスペリングをさせてようやく、
Yくんの弱さに気づくことができたし、
Sくんの強みに気づくことができたことで、
指導の工夫につなげることができそう。
これからの指導としては、
Yくんには音韻認識を、
特に発音も含めて彼の苦手な音をより意識させることを重点的にしていこう。
そして時々スペリング課題テストを行った方がいいだろう。
Sくんは読み課題を増やした方が良さそうだけれども、
似た文字の読み間違いが圧倒的に多いので、
毎回そのトレーニングを入れていくほうが良さそう。
ああ、面白い。
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