Aくんのレッスン、その後です。
(先生の日記つづき全文はこちら)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1774135341&owner_id=11379466
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1780280630&owner_id=11379466
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1780756169&owner_id=11379466
(ぜひ、全文読んで下さいね)
===============
(中略)
私が、8月中に心がけたことは
ノートを綺麗に綺麗に書くこと。
大文字と小文字を はっきりわかるように書くこと。
英文を書く前に その英文を声に出してスラスラ言えるようになってから書くこと。その時に イメージの力をしっかり使うこと。
そして、なぜ、そうしなきゃいけないのか、本人に納得してもらうこと。
今日は 次のテストを目標に 教科書二学期のところから 進めた。
================
その本人に納得してもらうっていうところがとても大切!!っていうの、
同感でした。
目的がわかってなくて「やらされている」と、
いい加減になるのは大人も一緒。
================
彼は 色んなことを知りたがっている。
選挙にも関心があるんだって。
そうか。
色んな問題があるね。
きみたち、若者がこれから頑張って日本を背負っていくねんで。
問題について言及するには、大量の知識がいるんやで。
どんなことでも そうやって興味を持つことは 素晴らしいことや!
中学生やのに 君は えらいなあ!
まあ そんな無駄話もしながら レッスン4のテストのポイント解説と テスト対策ノートの作り方を指導。
「はい!絶対にやってきます!絶対 80点とります!」
(中略)
練習はだんだん自主的になる。
英語以外のことにも 変化が見られるらしい。
(中略)
学校の先生から「最近、すごく変わりましたね、いきいきしてます。」と言われた。
======================
わたしは、Aくんが「絶対80点取ります!」って言うなんて、
信じられませんでした。
「どうせあかんもん」というのが、彼の口から出てきそうな言葉だったから。
B先生が、どのように“教えた”のかじゃなくて、
どのように、“関わったのか”を紹介したかったので、
次の抜粋、長いけれども読んで下さい。
================
(中略)
しゃあないな。
「じゃ、今から、教科書本文を書いて。きれ~~~~~に書くんやで。」
書くのをじっと見守る。脳内多動症の私にはめんどくさい時間だ。
1ページ書くのにかかる時間を計る。
「何分かかったと思う?」と聞いて、自分の勉強の時間がいかほどかかるか、覚えていってもらうのも大事なことだと思っている。
「書いたら音読。」
すらすら読めた。たいがい練習してきたからね。
「つぎにノート見開き右側に和訳を書く。」
不注意な彼は適当な日本語を書く。それを注意して見る。
「今度は、英語を1文読んで、和訳も1文読む。」
「次は、日本語だけを見て、英語を言う。」
ここまでのそれぞれにかかる時間を計り、「何分かかったと思う?」と毎回聞く。
「よし。で、次になにをしたらいいと思う?」
「もう、これで100点取れる。」
「え~~ほんま?じゃ、今からテストするで。日本語を見て、その英文をここに書いてめみ。これが書けたら100点やな。」
たった1ページ。OK. なんかも入れたら14文ある。
日本語だけ見て英語を書いた。
1文全部間違いなく書けたら1点。
結果は14点中4点。
本人はできると思っていたのでショックを受ける。
文頭の大文字。文末のピリオド。単語のスペルミス。a/an。the が抜けている。
お決まりのミスにも注意が全くいっていない。
私は答えを言わない。
直して、と言うだけ。
「ええ、何でまちがったんやろ~~~。」と彼は悩む。
「降参?間違いをおしえたろか?」
「いや、降参しない。」
間違いを自分え見つけたくなるように誘導する。
いくつかは自分で発見できたが、こういうことをしたことがないからか、お決まりのミスも自分で発見できない。
降参して、自分で教科書を見て間違い探しをしてもらう。
「ああ!!これか!!!」
「どうする?次に何する?」
「いや、もうしなくていい、これで100点取れる。」
「そうか?じゃ、もっかいやってみよか。」
2回目、日本語を見て英語を書く。3分半かかる。
14点中8点。
彼は今度は完璧だと思っていたので、またショック。
「どうする?もっかいやる?」
「いや、もうやらなくても大丈夫。テストではできる。」
「あかん、先生の予想では30点やな。これを14点満点とれるようにせな。もっかいやり。2回連続で満点とれるまでやり。」
3回目。
14点中10点。
ここで、彼ははじめて、私に「できた。」という前に、見直しをした。
見直しの習慣がなかったのだ。
私はそれに彼自身にきづいて欲しかった。
4回目。
ちゃんと見直しもしたけど、13点。
今度は自分から「もっかいやる」と言った。
5回目。満点が取れた。
ここまでやるのに、2時間かかった。
私がさきさき指示してたら、もっと早くできたと思う。
でも、自分で失敗して考えて、工夫することを覚えてほしかったので、覚悟して時間をかけた。
たった教科書1ページ。
だけど、大事な2時間だった。
==================
この二時間。
これに耐えられる先生がどんだけいるだろう、、、って思いました。
普通の二時間じゃなくて、彼の勉強に対する姿勢を変えてしまった時間。
普通は、早く終わらせたくて、
こういう風にやったらいいんだよ。ここはこうだよ。
って、言ってしまうんじゃないだろうか。
でもB先生は、気づいて欲しかったと言っています。
何に?
おそらくですが、
彼自身が、どれくらいやれば自分はこれを覚えられるのか、
ということではないかと思いました。
「これくらいでいいや」といった時彼は、本当にそう思っていたのでしょう。
ですが実際は、まだまだ“できた”という状態ではありませんでした。
そして、「どんな風に、どれくらいやれば、自分は覚えられるのか。」
ということを学んで欲しかったのではないでしょうか。
それを、先生が指摘するのではなくて、A君自身の体験を通じて、です。
また、A君は、先生に言われたからするのではなくて、
“自分で考える”力も必要でした。
自律学習では、
前者の力を、自分の学習をモニターする力、
“メタ認知能力”、
そして後者を自分の学習に責任を持つ姿勢
という言い方をします。
やらせる教育、
言われたからやってる勉強では、
いつまでも学習は他人事であり、
最小限の努力しか投入しなくなります。
ですが、この後、
Aくんは、どんどん1人で勉強をするように変化していきます。
同時に、他の兄弟と比べられ、
「お前はバカだ」という父親にも、
「ぼくは馬鹿じゃない。」と初めて父親に言い返したと聞きました。
B先生は、何か特別な指導法を使ったのだろうか?
そうじゃありませんでした。
先生は、とことん、その子がわかるまで寄り添い、導き、一緒に走ったのでした。
それも、その子が納得した上で。
====================
(中略)
とにかくね、全部を完全に攻略することは出来ないだろうな。
点を取るための表面的な応急処置はしない方針。
それは今後につながらないから。
彼には、いま、やっていることが、積み上がっていく、という体験をしてほしい。
やったことが無駄ではない、ということを知ってほしい。
(中略)
彼は、いま、英語が大好き。
というより、英語の勉強の中に「自分という人間に対する希望」を見いだしている。
それはきっと初めてのこと。
だから、やる気はある。やりたいと思っている。
でも、やり方がわからない、説明してもわからない、だからすぐにくじける。
そして、くじけて、勉強が進まず、テストの結果も悪ければ、
自分に期待することをやめてしまうだろう。
だから、どうしても、間に合わせたい。
大事な時だ。
=====================
こうした体験が、どれほど子どもの心を変えて、
自信につながるか。
そして、自信が自立へとつながっていくという姿を見せてもらうことで
この時期の子どもの力のすごさに、涙が出ました。
そしてA君の信頼を得て、彼の力を引き出したB先生。
その情熱と、的確な言葉がけと指導には、
私は本当に頭が下がりました~~(T_T)(涙
今のチャレンジ教室は7名いるので、
B先生のようにマンツーマンでは教えられません。
ですが、ある一定期間、個別に向き合う時間が取れたらなあ・・・。
そういえば、
フィンランドでは、小学校の低学年ほど手厚く、補習指導があります。
最初にきちんと勉強のやり方や、勉強の基礎を身につけていれば
上級生になるほど、補習が不要になっていくそうです。
Aくんがまさに、そういう例ですね。
彼は、もう少ししたらB先生がいなくても、勉強をする子になっていくだろうと思います。
ハワイの発達障害専門学校のバラエティスクールで、校長先生とお話ししたときに、
「どんな指導法を用いているのですか」に対する答えを改めて思い出しました。
「私たちは、どんな指導法でも、その子に合うなら使います。
その子がどんな子か、そこから指導が始まるのであって、
何を教えるか、どう教えるか、というのはその次です。」
発達障害、学習障害のあらわれ方や程度は千差万別です。
それに合わせて指導法も、情報処理傾向に合わせて工夫していかなくてはいけません。
でも、基本はB先生のように、
でも、まず、1人1人の学習のアセスメントから始め、
目標を立て、
子どもとちゃんと話し合い、
一緒に目標に向かう。それも、妥協せず。
その姿勢が一番大切。そう思います。
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===============
(中略)
私が、8月中に心がけたことは
ノートを綺麗に綺麗に書くこと。
大文字と小文字を はっきりわかるように書くこと。
英文を書く前に その英文を声に出してスラスラ言えるようになってから書くこと。その時に イメージの力をしっかり使うこと。
そして、なぜ、そうしなきゃいけないのか、本人に納得してもらうこと。
今日は 次のテストを目標に 教科書二学期のところから 進めた。
================
その本人に納得してもらうっていうところがとても大切!!っていうの、
同感でした。
目的がわかってなくて「やらされている」と、
いい加減になるのは大人も一緒。
================
彼は 色んなことを知りたがっている。
選挙にも関心があるんだって。
そうか。
色んな問題があるね。
きみたち、若者がこれから頑張って日本を背負っていくねんで。
問題について言及するには、大量の知識がいるんやで。
どんなことでも そうやって興味を持つことは 素晴らしいことや!
中学生やのに 君は えらいなあ!
まあ そんな無駄話もしながら レッスン4のテストのポイント解説と テスト対策ノートの作り方を指導。
「はい!絶対にやってきます!絶対 80点とります!」
(中略)
練習はだんだん自主的になる。
英語以外のことにも 変化が見られるらしい。
(中略)
学校の先生から「最近、すごく変わりましたね、いきいきしてます。」と言われた。
======================
わたしは、Aくんが「絶対80点取ります!」って言うなんて、
信じられませんでした。
「どうせあかんもん」というのが、彼の口から出てきそうな言葉だったから。
B先生が、どのように“教えた”のかじゃなくて、
どのように、“関わったのか”を紹介したかったので、
次の抜粋、長いけれども読んで下さい。
================
(中略)
しゃあないな。
「じゃ、今から、教科書本文を書いて。きれ~~~~~に書くんやで。」
書くのをじっと見守る。脳内多動症の私にはめんどくさい時間だ。
1ページ書くのにかかる時間を計る。
「何分かかったと思う?」と聞いて、自分の勉強の時間がいかほどかかるか、覚えていってもらうのも大事なことだと思っている。
「書いたら音読。」
すらすら読めた。たいがい練習してきたからね。
「つぎにノート見開き右側に和訳を書く。」
不注意な彼は適当な日本語を書く。それを注意して見る。
「今度は、英語を1文読んで、和訳も1文読む。」
「次は、日本語だけを見て、英語を言う。」
ここまでのそれぞれにかかる時間を計り、「何分かかったと思う?」と毎回聞く。
「よし。で、次になにをしたらいいと思う?」
「もう、これで100点取れる。」
「え~~ほんま?じゃ、今からテストするで。日本語を見て、その英文をここに書いてめみ。これが書けたら100点やな。」
たった1ページ。OK. なんかも入れたら14文ある。
日本語だけ見て英語を書いた。
1文全部間違いなく書けたら1点。
結果は14点中4点。
本人はできると思っていたのでショックを受ける。
文頭の大文字。文末のピリオド。単語のスペルミス。a/an。the が抜けている。
お決まりのミスにも注意が全くいっていない。
私は答えを言わない。
直して、と言うだけ。
「ええ、何でまちがったんやろ~~~。」と彼は悩む。
「降参?間違いをおしえたろか?」
「いや、降参しない。」
間違いを自分え見つけたくなるように誘導する。
いくつかは自分で発見できたが、こういうことをしたことがないからか、お決まりのミスも自分で発見できない。
降参して、自分で教科書を見て間違い探しをしてもらう。
「ああ!!これか!!!」
「どうする?次に何する?」
「いや、もうしなくていい、これで100点取れる。」
「そうか?じゃ、もっかいやってみよか。」
2回目、日本語を見て英語を書く。3分半かかる。
14点中8点。
彼は今度は完璧だと思っていたので、またショック。
「どうする?もっかいやる?」
「いや、もうやらなくても大丈夫。テストではできる。」
「あかん、先生の予想では30点やな。これを14点満点とれるようにせな。もっかいやり。2回連続で満点とれるまでやり。」
3回目。
14点中10点。
ここで、彼ははじめて、私に「できた。」という前に、見直しをした。
見直しの習慣がなかったのだ。
私はそれに彼自身にきづいて欲しかった。
4回目。
ちゃんと見直しもしたけど、13点。
今度は自分から「もっかいやる」と言った。
5回目。満点が取れた。
ここまでやるのに、2時間かかった。
私がさきさき指示してたら、もっと早くできたと思う。
でも、自分で失敗して考えて、工夫することを覚えてほしかったので、覚悟して時間をかけた。
たった教科書1ページ。
だけど、大事な2時間だった。
==================
この二時間。
これに耐えられる先生がどんだけいるだろう、、、って思いました。
普通の二時間じゃなくて、彼の勉強に対する姿勢を変えてしまった時間。
普通は、早く終わらせたくて、
こういう風にやったらいいんだよ。ここはこうだよ。
って、言ってしまうんじゃないだろうか。
でもB先生は、気づいて欲しかったと言っています。
何に?
おそらくですが、
彼自身が、どれくらいやれば自分はこれを覚えられるのか、
ということではないかと思いました。
「これくらいでいいや」といった時彼は、本当にそう思っていたのでしょう。
ですが実際は、まだまだ“できた”という状態ではありませんでした。
そして、「どんな風に、どれくらいやれば、自分は覚えられるのか。」
ということを学んで欲しかったのではないでしょうか。
それを、先生が指摘するのではなくて、A君自身の体験を通じて、です。
また、A君は、先生に言われたからするのではなくて、
“自分で考える”力も必要でした。
自律学習では、
前者の力を、自分の学習をモニターする力、
“メタ認知能力”、
そして後者を自分の学習に責任を持つ姿勢
という言い方をします。
やらせる教育、
言われたからやってる勉強では、
いつまでも学習は他人事であり、
最小限の努力しか投入しなくなります。
ですが、この後、
Aくんは、どんどん1人で勉強をするように変化していきます。
同時に、他の兄弟と比べられ、
「お前はバカだ」という父親にも、
「ぼくは馬鹿じゃない。」と初めて父親に言い返したと聞きました。
B先生は、何か特別な指導法を使ったのだろうか?
そうじゃありませんでした。
先生は、とことん、その子がわかるまで寄り添い、導き、一緒に走ったのでした。
それも、その子が納得した上で。
====================
(中略)
とにかくね、全部を完全に攻略することは出来ないだろうな。
点を取るための表面的な応急処置はしない方針。
それは今後につながらないから。
彼には、いま、やっていることが、積み上がっていく、という体験をしてほしい。
やったことが無駄ではない、ということを知ってほしい。
(中略)
彼は、いま、英語が大好き。
というより、英語の勉強の中に「自分という人間に対する希望」を見いだしている。
それはきっと初めてのこと。
だから、やる気はある。やりたいと思っている。
でも、やり方がわからない、説明してもわからない、だからすぐにくじける。
そして、くじけて、勉強が進まず、テストの結果も悪ければ、
自分に期待することをやめてしまうだろう。
だから、どうしても、間に合わせたい。
大事な時だ。
=====================
こうした体験が、どれほど子どもの心を変えて、
自信につながるか。
そして、自信が自立へとつながっていくという姿を見せてもらうことで
この時期の子どもの力のすごさに、涙が出ました。
そしてA君の信頼を得て、彼の力を引き出したB先生。
その情熱と、的確な言葉がけと指導には、
私は本当に頭が下がりました~~(T_T)(涙
今のチャレンジ教室は7名いるので、
B先生のようにマンツーマンでは教えられません。
ですが、ある一定期間、個別に向き合う時間が取れたらなあ・・・。
そういえば、
フィンランドでは、小学校の低学年ほど手厚く、補習指導があります。
最初にきちんと勉強のやり方や、勉強の基礎を身につけていれば
上級生になるほど、補習が不要になっていくそうです。
Aくんがまさに、そういう例ですね。
彼は、もう少ししたらB先生がいなくても、勉強をする子になっていくだろうと思います。
ハワイの発達障害専門学校のバラエティスクールで、校長先生とお話ししたときに、
「どんな指導法を用いているのですか」に対する答えを改めて思い出しました。
「私たちは、どんな指導法でも、その子に合うなら使います。
その子がどんな子か、そこから指導が始まるのであって、
何を教えるか、どう教えるか、というのはその次です。」
発達障害、学習障害のあらわれ方や程度は千差万別です。
それに合わせて指導法も、情報処理傾向に合わせて工夫していかなくてはいけません。
でも、基本はB先生のように、
でも、まず、1人1人の学習のアセスメントから始め、
目標を立て、
子どもとちゃんと話し合い、
一緒に目標に向かう。それも、妥協せず。
その姿勢が一番大切。そう思います。
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